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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season8 ― あリがとうの波紋 ―小さな会社の大きなアップデート ― 日常に寄り添う設計 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season8 ― あリがとうの波紋 ―小さな会社の大きなアップデート ― 日常に寄り添う設計 ―
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第7章 公開 ― ありがとうが届く瞬間

ついに“Ripple Project”が始動。

モニターに映し出された“光の波紋”は、

人の心がデジタルを通じて届いた証でした。

[ミライ事務用品・社内テスト当日/午前10時]


春の光が差し込む会議室。

なぎはノートパソコンを開きながら、深呼吸をした。

たまきは隣で資料を並べ、しゅうは静かに見守っている。


「本日がテスト公開日、ですね……!」


「はい。“Ripple Project”、起動します。」


Enterキーが押される音。

画面がやわらかな光に包まれた。

トップページに浮かぶメッセージは――


 > “あなたの手元に、今日もやさしさを。”



その言葉と同時に、

過去に受け取った“ありがとう”の波紋が、

背景のグラデーションとしてゆっくり広がっていく。


「……わぁ。」


「えっ、これ、背景が動いてるんですか?」


「はい。“ありがとう”が生まれるたびに、

 その感謝が“光の波紋”としてサイト全体に広がるようにしました。

 ひとつのメッセージが、次の誰かの画面にも届くんです。」


青木は画面を見つめながら、

そっと自分の手を胸に当てた。


「……あの、すごいですね。

 まるで、みんなの“ありがとう”がここに生きてるみたいです。」


「それが、凪の再設計だ。

 “感情を保存する”から“感情を共有する”へ。」


「音のない優しさって、こんな風に届くんですね。」


「……そう言ってもらえると、報われます。」


テスト用に“購入完了”ボタンを押すと、

吹き出しがゆらりと浮かび上がった。


 > “あなたの言葉が、誰かの一日を明るくしました。”



その瞬間、背景に小さな光の粒が弾け、

画面の端に淡いピンク色の波紋が広がった。


「……これ、“ありがとう”の波、ですか?」


「はい。

 “受け取った想い”を、見えない風のように広げる仕組みです。」


「なんだか、涙が出そうです……。

 私、この会社で働いててよかったって、今ほんとに思います。」


「その言葉が、たぶん次の波紋になるんですよ。」


「……そうですね。」


凪はそっとモニターの隅に手を添えた。

「この波が、どこまで届くんだろう……」

その声は、少しだけ震えていた。


「届くさ。

 やさしさは、伝えようとする限り、どこまでも。」


「凪さん……本当に、ありがとうございました。」


「こちらこそです。

 “人の想いを届けるシステム”、その答えを教えてくれたのは皆さんですから。」


外では、風がやさしく旗を揺らしていた。

その音はまるで、画面の中の“波紋”が現実に届いたようだった。


――“ありがとう”は、言葉じゃなく風のように届く。

今日もまた、新しい波が静かに広がっていく。

青木さんの“涙のありがとう”が、すべてを語っていました。

凪くんの作ったシステムは、

ちゃんと“人の心”を残せたのだと思います。

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