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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season8 ― あリがとうの波紋 ―小さな会社の大きなアップデート ― 日常に寄り添う設計 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season8 ― あリがとうの波紋 ―小さな会社の大きなアップデート ― 日常に寄り添う設計 ―
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第6章 再構築 ― “ありがとう”の設計

深夜のオフィスで、なぎくんが見つけた答え。

それは、“ありがとう”をデータではなく“波紋”として残すという発想。

優しさは、静かに広がっていく。

[アークシステムズ・オフィス/深夜]


窓の外は、街灯の明かりがちらちらと揺れている。

なぎはひとり、モニターの前で静かにコードを見つめていた。


データベースの中には、

たくさんの購入履歴と送信ログ。

でも、そのどれもが“数字”でしかない。


「……人の想いを、どうすれば残せるんだろう。」


呟いた声が、オフィスの空気に溶けていく。


その時、静かにドアが開いた。

たまきがカップを2つ手に持って入ってきた。


「凪くん、コーヒー、飲みますか?」


「あ、ありがとうございます。環さんまで残ってもらって。」


「うん。なんか……気になって。

 “ありがとう”が消えるって、悲しいですもん。」


「ですよね。

 あのメッセージ、ただの文字なのに、

 なくなると空気が冷たくなる気がして。」


環は凪のデスクに、手書きのメモを置いた。


 > “焦らなくていいですよ。

  きっと“ありがとう”は、まだここにあります。”



「……環さん、これ……」


「昔、あかりさんが言ってたんです。

 “優しさはデータじゃなくて、波紋のように広がる”って。」


「……波紋、か。」


凪はメモを見つめながら、静かに立ち上がった。

「そうだ……。メッセージを“保存”するんじゃなくて、

 “受け取った人の気持ち”を波として残せばいいんだ。」


「波?」


「ユーザーが“ありがとう”を受け取った時、

 その画面の色や光が、少しだけ変わるようにする。

 その変化を“波紋”として他のページにも伝える。

 言葉じゃなくて、“優しさの余韻”を残す設計です。」


「……それ、すてきです。」


「なるほどな。人の想いは、共有じゃなく“共鳴”だ。」


驚いて振り向くと、しゅうがカップ片手に立っていた。


「柊先輩……聞いてたんですか?」


「聞こえるくらいにはな。

 ……いい案だよ。

 人の気持ちは、サーバーに残すんじゃなく、人の中に残せばいい。」


「ありがとうございます。

 じゃあ、コードネームは……“Ripple Project”で。」


「“ありがとうの波紋プロジェクト”……ですね。」


「うん。

 見えないけど確かに広がる――それが“ぽかぽか”だ。」


3人は笑い合い、再びそれぞれの席に戻った。

モニターの中では、新しい設計図が静かに光を帯びていく。


――“ありがとう”は、保存するものではなく、

  誰かの心に波のように残るもの。


夜風がそっとカーテンを揺らした。

その風もまた、優しい“波紋”のひとつのように感じられた。

環の手書きメモが、凪くんの心を動かしました。

“焦らなくていい”というその言葉が、

人を支えるシステムの原点かもしれません。

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