第3章 設計会議 ― やさしさを形に
アークシステムズの会議室で、
柊、凪、環の3人は“人の想いを残すシステム”を考え始めます。
“ぽかぽかUI”という新しい言葉が生まれる瞬間。
[アークシステムズ会議室/翌日午前]
ホワイトボードの前に、凪が設計資料を並べていた。
窓の外は春の光。
空気が少しだけ、いつもより柔らかい。
「さて、昨日の現地調査を踏まえて――
どう設計する?」
「はい。ベースは通常のオンラインショップ構成でいきますが、
追加で“ありがとう共有機能”を入れたいと思います。」
「“ありがとう共有機能”?」
「購入時に“ありがとう”や“気持ち”を添えられる欄をつくるんです。
スタッフがその一言を見て、返信メッセージを送れる仕組み。」
「つまり、“感情の往復”がある通販サイトか。」
「そうです。
普通のサイトは、ボタンを押したら終わりですよね。
でも、ミライ事務用品は“手書きの想い”が強み。
それを“やりとりのデザイン”として残したいんです。」
環はうなずきながら
「いいですね。
購入完了ページに“手書きメッセージ画像”を添えるとか。
色やフォントも、文具っぽい雰囲気にしたいです。」
「手書き風フォント……それ、いいですね。
画面を見た瞬間、“紙の手ざわり”を感じられるUI。」
「ふむ。じゃあテーマは“手ざわりのあるデジタル”。
目指すのは、“温度を感じる設計”だな。」
「“温度設計”……なんか、いい響きです。」
「それなら、トップページに“今日のひとこと”コーナーを入れるのはどうですか?
スタッフが交代で書く小さなメッセージ。
“今日のおすすめ文具”とか、“このノートに書きたい言葉”とか。」
「それも採用だ。
ユーザーがサイトを開いた瞬間、
“誰かの声が届く”ような場所にしたい。」
「……ほんと、こうして話してると、
システムって人の想いの集まりなんだなって思います。」
「そうだよ。
数字もプログラムも冷たくなんかない。
使う人と作る人の想いが重なれば、それは“ぽかぽかの設計”になる。」
「“ぽかぽか設計”……ですね。」
3人の笑い声が、静かなオフィスに広がる。
モニターに映る画面の中では、
まだ白紙のデザイン案がやさしい光を反射していた。
――その白さの中に、
きっと新しい“ありがとう”が生まれる場所がある。
“数字より心。効率より想い。”
柊の言葉が、この章のすべてです。
次回は、環の“好き”がデザインとして花開きます。




