第1章 依頼 ― オンラインショップを作りたい
新しい依頼がアークシステムズに届く。
それは、文具を扱う会社からの少し不思議なお願い――
「人の温かさを感じるオンラインショップを作りたい」。
3人の新しい挑戦が、静かに始まります。
[アークシステムズ・オフィス/午前9時]
朝の光が差し込むオフィス。
コーヒーの香りが漂う中、凪がモニターをのぞき込みながら言った。
「柊先輩、新規の案件入りました。“株式会社ミライ事務用品”って会社です」
「ミライ事務用品? 名前がいいな。“ミライ”か。」
「事務用品……。かわいい文具とか扱ってる会社ですか?」
「ですね。FAXと電話が主な受注方法らしくて、
“そろそろオンライン化したい”って依頼です。」
「なるほど。ECサイトの開発ってことか。」
「はい。でも――」
凪はモニターを見つめながら、少し眉を寄せた。
「担当の方のメールに、“人の温かさをなくしたくない”って書かれてて。」
「……やさしい人なんですね。」
「システムを便利にしても、人が遠くなっちゃうのは寂しいからな。」
柊はコーヒーを一口飲み、いつもの柔らかな声で続けた。
「よし、今回は“あたたかいECサイト”を作ろう。
ただの通販じゃなく、“人と文具がつながる場所”だ。」
「“あたたかいECサイト”……いいですね。」
凪が少し笑って、メモを取る。
その動きは、どこか楽しそうだった。
「文具って、手に取るだけでなんかぽかぽかしますよね。
使う人の気持ちまで明るくなるというか……」
「うん。そんなサイトにしたいな。」
モニターに表示された“ミライ事務用品”のロゴ。
そこに添えられていたのは、手書き風の小さな文字。
> “あなたの手元に、やさしさを届けたい。”
――アークシステムズ、次の挑戦が始まろうとしていた。
“便利”の中に“優しさ”をどう残すか。
凪くんの目が少しだけ真剣になった瞬間でした。
次回は、ミライ事務用品の現場へ。
文具の香りと、人のぬくもりが詰まった場所でのお話です。




