第17話 脱獄【主律星フェニス】
「あ!? 工作員じゃないだと?」
更衣室の外から裏返った声が聞こえた。
「じゃあなんのために俺を助け出したりしたんだ?」
ロッカーから取り出したワンピースに頭を通しながら、リメアは率直に答える。
「んー、ついでだよ! あの装置がエネルギー使いすぎてたから、止めたかっただけ!」
「……助けてもらってなんだが、バカなのか? 俺は戦犯だぞ? そんな理由で簡単に開放してよかったのかよ」
ポシェットを引っ提げて更衣室から出ると、呆れ顔が待っていた。
とはいえ、ついではついでなので、それ以上の返答は思いつかない。
「簡単な理由じゃないよ」
やや俯きながら、照明に照らされた通路を歩き出す。
後ろからアーヴィが後ろ頭に手を回したままついてきた。
「なんだ、環境活動家か? それともただの節約オタクかぁ?」
ヘラヘラ笑うアーヴィを、2つの翡翠が射抜く。
少年のふざけた笑みを消すには、それで十分だった。
「……おっと悪い。そう睨むなよ」
「今はちょっと話してる場合じゃないけど、いろいろあったの。精霊関係で、許せないことがあって」
「おーいいじゃねぇか。じゃあ、なんだ。俺達は同士ってことだな!」
暗く沈んだ空気を吹き飛ばすように、アーヴィは明るい声で拳を突き出してきた。
アリシアとは違いすぎる、軽いノリ。
リメアはフイと顔を背けて応じず、冷たくあしらう。
「でも、変なことには協力しないから! あと、アーヴィが悪さをしようとしても、わたしが止めるからね!」
「ははっ、威勢がいいことで」
「むっ、信じてない」
「そりゃあ信じてるさ。小さな女の子が従響星からはるばる星の海を超えてここまでやってきたんだ。その信念には敬意を表するぜ」
ニタニタと笑うアーヴィ。
ちょっと気を許したら急に馴れ馴れしくて嫌な感じ。それになんだか軽く見られてるな、と感じつつも、リメアは先を急いだ。
脱獄しようとしているのに静かすぎる監獄は不気味で、早くこの地下空間から抜け出したかった。
記憶を頼りに似たような廊下の角を何度か曲がると、いつぞや見た厳しい昇降機が現れる。
間違いない。ここを通って、リメアは地下に降りてきた。
「えっと、あれ?」
壁のレバーをガシャガシャ倒してみるが、反応がない。
「あー、さすがに出られないように細工されてるか。あのオッサンに」
「むー……」
腕を組み見上げると、階を示すランプが消灯している。
電源を落とされているようだった。
「いつまでそこでそうやってるつもりだ? ほら、非常階段はこっちだぞ?」
ケラケラと笑いながら親指で指差す少年。
なんだか先回りされているようで、リメアはムッとした。
「ま、開けられたらだけどな」
アーヴィの示した先には、【非常階段】とプレートに銘打たれた頑丈な扉。
鎖と鍵で何重にも施錠されており、分厚いかんぬきが掛けられていた。
「で、どうする? 頼りになるお嬢さん?」
「ムカッ、なんでそんな言い方するのかな――?」
いちいち癪に障る言い方を繰り返され、ちょうどボルテージが上がっていた。
リメアはちょうどいいストレスの解消先へ、つかつかと歩み寄る。
その後姿を見たアーヴィは、小さく吹き出しながら肩をすくめた。
「そんな細腕でどうするつもりだ? おとなしく鍵を探しに――」
「…………えいっ」
耳をつんざくような轟音が、監獄中に響き渡る。
めくれ上がった純白のワンピースが余韻を残して落ちてきた。
まっすぐに伸ばされたしなやかな右足をあえてゆっくりと下ろし、リメアはアーヴィにニッコリと笑いかける。
舞い上がった埃の向こうでは、壁ごと蹴り抜かれてひしゃげた鉄の扉が沈黙していた。
「なにか、言うことはある?」
「……ありません」
アーヴィは頬を引きつらせ固まった表情のまま、素早く白旗を上げた。
これでよし、とリメアは満足気である。
しゅんと小さくなったアーヴィを連れて、リメアは非常階段を上り始める。
先程までの監獄廊下とは対象的に簡素な作りで、配線やダクトがむき出しのままだ。手すりの塗装も剥げかかっている。
厚く積もった埃は、ここが長い期間使われていなかったことを物語っていた。
2人の甲高い足音が、冷たく反響する。
照明も踊り場に必要最低限といった形で薄暗く、互いの表情もほぼわからない。
「ふー、だいぶ上ったね。地上までどれくらいだろう。ね、アーヴィ?」
「ん? ああ」
不意に話しかけられたからか、アーヴィの返事はそっけない。
階段を駆け上がる間、さっきまでの軽口が嘘のようにアーヴィは沈黙していた。
こちらから見えていないと思っているのか、双眸が闇の中で妖しく光っている。いかにも悪巧みをしていそうな顔だった。
「……なに考えてるの」
「いや、な。リメアが工作員じゃねぇって聞いた時は頭を抱えたが、この流れも悪くねえなって思えてきたところだ。俺の中で欠けてたピースが嵌りかけている。うまくいけば、本当に精霊を倒せるかもしれねぇぞ」
「そうなの?」
少し声が弾みかけた。
リメアはいけない、と思い直して真面目なトーンに無理やり戻す。
「でも、精霊がどこにいるのかもまだ分かってないよ? ヴェールもずっと交流が途絶えてるって言ってたし」
少年はキシシと笑った。
「まあ待て。とりあえず整理しよう。俺は精霊を倒したい。リメアは精霊をひっぱたきたい。つまりここまでの目的は一致している。違うか?」
「……違わない、けど」
「オーライ、じゃあ次に進もう。確かに俺も精霊の正確な居場所は知らない。だが、精霊やその取り巻きにはちょっくら詳しいんだ。これでも昔は船団率いて精霊とドンパチやってたんだぜ? だから、まずはこの星の情報をくれ。おおよそ推測が立つかもしれねぇ」
「この星の、情報……」
リメアはうーん、と考えながら、自分の知っていることを並べてみる。
「えーっと、この星は元々観光地で、小麦がおいしいらしくて、景色がいい場所だったみたい。従響星とは宇宙エレベーターでつながってて……ってのが古い情報」
「どれくらい前の話だ?」
「……400年ぐらい?」
「当てにならねぇな。で、現状は?」
「従響星はエネルギーを主律星に吸い取られてカラッカラ。住んでる人たちはすっごく大変な生活をしてる。なのに主律星の景色はホログラムで、エネルギーはアーヴィの封印にいっぱい使われてた。あ、あと警察の人も、さっきの監獄長も、ひとりでたくさんの役割をこなしてるの。人がとっても少ないみたい。建物は贅沢なのに、変なの」
「はーん、なるほど、環境整備が主目的の低級精霊、用途はエネルギーの分配、管理ってところか。で、なにかが原因でバランスと制御を失ってる、と……」
ぶつぶつとなにやら口の中で呟く金髪の少年。
ジジ、と非常灯が明滅し、2人の影を灰色の壁に映した。
足を動かし始めたリメアにつられて、アーヴィも再び階段を上り始める。
「そうだ、もうひとつ聞きたい。従響星で精霊と会ったときのことを詳しく」
「あー、なんかね、鎖の先っぽに、目がギョロギョロってしてて、気持ち悪かった! なんて言ってたっけな。エーテルをたくさん使ってるから規則違反で、この一帯からエーテル使用権限を剥奪するって言った瞬間に、力が全部つかえなくなっちゃったの」
「エーテルの、使用権限、だと?」
「うん、だからこの星に来て、エーテルをあんまり使わないようにしてるんだ。精霊に見つかって、先にエーテルを封じられたらなにもできないから」
「……なるほど、どういうからくりかよく分からなかったが、なるほど……」
アーヴィはリメアから目線を逸らし逡巡する。
横顔には幼さは見られず、静かな圧を感じた。
が、それも長くは続かず、ぱっと明るい表情になったアーヴィに、リメアはホッとする。
「……まあいいさ。何にせよ、このウジウジした穴蔵からの脱出が先決だ。リメアはこういった状況には慣れてんのか?」
「うっ、あんまり、慣れてないかも……というか、初めて……です」
経験を問われると苦しい。
従響星でアリシアと過ごした以外、宇宙船に引きこもりっぱなしだった。
映画で見たスパイ・アクションには詳しかったが、それを引き合いに出すのはちょっと恥ずかしかったので取り下げた。
「オーケー、じゃあこうしよう。とりあえず脱出までは共同戦線を張ろうじゃないか。そっちは怪力を貸してくれ、こっちは頭脳を貸し出す」
「怪力って……なんかちょっと響きが嫌だけど、わかったよ」
「じゃあ改めて、ほれ」
アーヴィは懲りずに再び拳を突き出してきた。
男の人ってこういうのが好きなのかな、とわずかにためらう。
待っても催促されるだけだったので、仕方なくリメアも拳を突き出した。
拳頭をコツンとぶつけ合うと、少年はニッコリと白い歯を見せる。
「交渉成立だな」
その後も2人は階段をひたすら上り続けた。何段あるのか試しに数えてみたが、数百段を超えたあたりで飽きてやめてしまった。
力任せにジャンプしてショートカットしたい衝動に駆られたが、映画のスパイ・アクションを思い出すことでなんとかこらえ続けた。
そうして進み続けること数刻、見上げてみれば非常階段も終わりに近づき、地上階の扉が見えてくる。
タタタッとアーヴィがリメアを追い越し、扉のノブに手をかける。
「へへ、一番乗り」
「……子供みたい」
「うるせ、子供心を忘れない素敵な大人と呼べ」
「はいはい、で、これからどうするの? 頭脳担当さん?」
「そりゃあもちろん――出たとこ勝負さ」
掛け声もなく、アーヴィが扉を勢いよく開いた。
「~~~~っ!!」
一瞬、明暗差にリメアの視界がホワイトアウトする。瞬きを繰り返した直後、言葉を失う。
扉の向こうは、警察署の大理石でできた広い廊下につながっていた。
ただ以前そこを通ったときとは様子が大きく異なっていた。
おおよそ30を超える数の、白くツルツルした見た目の人形ロボットがリメアたちの出口を囲むようにひしめいていたのだ。
完全に先を読まれ、包囲されていた。
慌てて身構えながら、アーヴィに助けを求める。
「え、え! なんかたくさんいるよ! アーヴィ、どうし――わぶっ!」
言うよりも先にロボットたちの胸に開いた穴から一斉に白い煙が噴射される。
リメアはとっさにエーテルで障壁を張り、煙を退けた。
「ぎゃぁあああああああっ!!」
隣で盛大な悲鳴が上がる。
ハッと顔を向ければ、アーヴィが目を押さえて地べたで転がりまわっていた。
「うおぉぉぉ、さ、催涙ガスだ! くそぉおおおお!」
「ご、ごめん! アーヴィも守ってあげたら良かった……。あ、でも、エーテル使っちゃった! どうしよう!」
「いいから! 今は目の前に集中しろ! 早くそいつらをなんとかしてくれ!」
「わ、わかった!」
言われるがまま、警察署本部の大廊下へと飛び出したリメア。
(アーヴィが立ち直るまで、時間を稼がなきゃ!)
ロボットたちを前に拳を突き出し、不慣れなファイティングポーズをとった。
が、突如上から大量のネットが降ってくる。
「わ、わ!」
折り重なるネットの向こうから、拡声器を通した声が投げかけられた。
「抵抗はやめて、おとなしくしろ! お嬢ちゃんが抵抗しなければ、これ以上危害を加えはしない! 両手を上げて、後ろを向け!」
ネットの隙間から覗いてみれば、ロボットたちの背後で見たことのある制服姿の男が立っている。
それはリメアをヴェールに引き渡した、あの警官だった。
「け、警官さん! ごめんなさい、えっと、でもわたし、ここから出ないといけなくて……」
リメアの声を聞いて、拡声器の声が幾分和らぐ。
「……私も昨日語り合った君を、傷つけたくない。どうか大人しく投降してくれ」
「うぅ……」
つい両手を上げようとした時、後ろから怒号が響き渡る。
「なにやってんだリメア! そんな奴に言いくるめられるな!」
「ハッ!」
一瞬流れに身を任せそうになったリメアは、慌てて手を下ろした。
「そ、そうだ、わたしやることがあるの。だから……ごめんなさいっ!」
積み重なるネットに指をかけ、力任せに引っぱった。
ワイヤーで編まれた網が容易く押し広げられ、少女はするりと頭を出す。
「バカな……! 車両拘束用の高張力ネットだぞ……?」
警官が泡を吹くと同時に、ロボットたちのバイザーが一斉に警戒色へと変わった。
『捕獲対象、降伏提案を破棄。武力制圧ヘ移行シマス。隔壁ニテ、経路遮断』
警察署にブザーが鳴り響き、天井や床から分厚い壁がせり上がる。
「へへ、ちょっと目を離した隙に絶体絶命だな!」
鼻水を垂らしながら、扉から出てきたアーヴィが隣で構える。
遅れて登場したものの、残念ながら映画の主人公のようにかっこよくはない。
「……大丈夫なの?」
「ああ、なんとか。目ん玉新しく入れ替えたからな」
「冗談、だよね?」
「いいや? ガチだ。そっちの階段に戻れば、俺のつぶらな瞳とご対面できるぜ?」
「えぇ……グロい……なにその対処法」
ドン引きするリメアをよそに、アーヴィは屈伸をして準備運動を開始する。
「はぁ、久しぶりの戦いだ。この子供の身体ってのがデカすぎるハンデだが」
「無理しないでいいからね?」
「余裕こいてていいのか? ほら後ろ」
アーヴィが指差す前に、リメアは身体を後ろに反らす。
鼻と目の先を光の刃が通り過ぎた。
「っ!」
体を起こし、反撃しようとした刹那、別のロボットからさらに攻撃を受ける。
なんとか体を捻って横に飛び、体勢を整えた。
「やっちゃった……!」
後悔したがすでに遅い。
壁際を離れてしまったことでロボットたちの完全包囲を許してしまった。
頼みのアーヴィとも分断され、戦況は相手側の天秤が優勢に傾いている。
『制圧、開始――』
音声と同時に、全方位から一斉に襲いかかって来るロボット。
「ああ、もう!」
気は進まないが、拳で戦うほかはない。
やられる前に敵を無力化しなければと、リメアは大理石の床を蹴った。
すかさず1体の懐に潜り込み、突き出した拳がロボットの腹部を貫く。
頭部のバイザーから光が消え、ガシャリと1体目のロボットが地面に崩れ落ちた。
「次は誰!?」
エメラルドに輝く瞳が、睨みをきかせる。
が、次の瞬間、耳は足元を薙ぐ風切り音を捉え、反射的に後転。
着地後すぐさま顔を上げると、リメアの目が大きく開かれた。
「嘘……!」
先ほど倒したはずのロボットが、半分溶けるような形で別のロボットの足と融合していた。足から生えた上半身は、なに食わぬ顔でビームブレードを振るっている。
「気をつけろ、そいつらは液体金属型の軍事ロボだ。プログラム次第でいくらでも形が変わるぞ!」
ロボットたちの垣根の向こうから、アーヴィの忠告が聞こえてくる。
「……っ!」
リメアは振り下ろされたビームブレードをかいくぐり、回転しながら空中で2連の蹴りを繰り出す。スカートがふわりと広がると同時に、3体のロボットが音を立てて壁に打ち付けられた。
しかしずり落ちたひしゃげたロボットは互いを融合させ、1体の大きなロボットへと変貌する。
「……まずいかも」
リメアは頬を引きつらせつつも、次の攻撃に備えた。
視界の端に、どさくさに紛れて包囲網から逃げ出し、警官の前に躍り出たアーヴィが映る。
「おいおい、殺意ありすぎだろこのロボットは。どーなってんだ、明らかに過剰戦力だろ?」
警官は表情を変えずに警棒を構えた。
「ロボット達は相手の戦闘力に応じて自律的に行動する。俺が指示を出したわけではない」
「はっ、じゃああいつらの責任者は誰なんだ?」
「……」
警官兼署長は黙りこくった。
「なんだ、答えられないのも規則ってか?」
ニタリと笑うアーヴィに、リメアが不満を漏らす。
「ちょっと、おしゃべりなんかより、このロボットたちどうしたらいいの~!?」
倒せば倒すほど巨大化し、腕や武器が増えるロボットに、リメアは押され始めていた。阿修羅像のように四方八方へ伸びた腕が、断続的に振り下ろされる。
なんとか反射神経に頼って避け続けてはいるものの、結構厳しい。
「あー、すまん、さっきみたいに、蹴飛ばしてればいいんじゃねぇの?」
「適当言わないで! それやったらどんどんおっきくなって……ほら! また取り込んで大きくなった!」
「なんかこう、必殺技とかねぇのかよ。ずばーんと一気に倒せるような」
「ないよそんなの! ただでさえエーテル使わないように気をつけてるんだから!」
「腕力もエーテルもダメなら、頭使え頭」
「ちょっ! 頭脳担当はそっちじゃないの~っ!」
泣き言を言いつつ、巨大なロボットに横蹴りを入れて、液体金属をまとめて吹き飛ばす。
しかし、腹部に開いた風穴は、ズブズブと溶けた金属ですぐに覆われる。
背後に飛び散った銀色の飛沫も、スライムのように集まってきては、巨大なロボットに取り込まれていく。
「キリがない……! 頭使えって、そんな……!」
修復のわずかなクールタイムに、リメアは周囲を見回す。
ロボットの数はだいぶ減ったが、まだ十数体が個別に稼働している。
「っ!」
背後から横一文字に振られたビームブレードを飛んで避け、ホールの壁面に着地した。
「なにか、なにか弱点は……」
上空から俯瞰して戦場を見渡す。
「わっ!」
銃弾の雨。
飛び降りて頭から床にスライディング。
「上に飛んだら危ない、蜂の巣にされちゃう、――っ!」
光刃、光刃、弾丸、レーザー、光刃。
ゴロゴロと床を転がりながら猛攻をかいくぐる。
「あ、やば……!」
転がった先で、1体のロボットの足に背中がぶつかった。
ロボットは待ち構えていたかのように、ビームブレードを振りかぶっている。
思わず片目をつぶりながらエーテル膜を張り、身を固くした。
が、しかし。
一向に痛みも、衝撃すらやってこない。
恐る恐る目を開けて、驚いた。
「っ!? 故障、してるの……?」
そのロボットは何度も腕を振り下ろそうとするも、なにかが引っかかっているように同じ挙動を繰り返している。
「このロボたち、プログラムで動いてるって、アーヴィが言ってた……ってことは、もしかして、バグ?」
銃声に身を翻しその場を離れる。先程までいた場所の大理石が砕け、破片が宙を待った。
リメアはバックステップの最中に深呼吸しながら、冷静に戦場を見渡した。
天井のステンドグラスから降り注ぐ光が、廊下を照らしている。
一番後ろに、巨大化したロボット。
動きが早いロボットたちは、もう目の前まで迫ってる。
でも、大きなロボットの周りにいるロボットたちは、動きが鈍い。
ちょうどきれいに、ロボットたちはステンドグラスの採光で色分けされていた。
「……攻略法、分かっちゃったかも!」
リメアはぺろりと唇を舐めた。




