スターレン家の家族
ランドルフ様とは別れて、部屋までヴォルフ様が送ってくれる事になりました。
「すみません 訓練中に」
「いや、朝の稽古は何となく子供の頃からの習慣なだけなんだ。
気にしなくていい」
「ランドルフ様はとても気さくな方みたいで安心しました」
「ああ、兄上はこの辺境領の私兵騎士団の中で育ったから、貴族より平民に近い感覚だからな」
なるほど、確かに貴族の相手を値踏みするような感じや、よそよそしい接し方が全くない。
それは騎士たちの仲間としての繋りの作り方に近いコミュニケーションの取り方なのだろう。
「それに、兄上と弟は隣国の学校へ行っていたんだが、隣国の学校は貴族だけでなく、ある程度の裕福な庶民も通える学校なんだ。
それも関係あるかもな」
隣国の学校はこの辺境領から1日くらいで行ける場所にあり結構留学する者もいるらしい。
「王都の学校へ入ったのは私だけだ」
「それはどうして?」
「この辺境伯爵家の人間としてこの国の貴族との繋りも作らないといけないからね。
貴族令息としては学校での3年間は人脈作りも使命だろ?
兄上がそうそうに王都に行きたくないと宣言してしまったから、仕方なく私が王都へ行ったんだ」
「もしかして、その時すでにお兄様はこの伯爵家を継ぐ意志がなかったと言うことですか?」
そう、長男が他にいるのに、なぜヴォルフ様が辺境伯爵を継ぐのか不思議に思っていたのだ。
「うーん その時はまだ本決まりではなかったかな。
兄上が継いだとしても、私が補佐で外交をすれば問題はなかったしね。
だけど、一昨年兄上が結婚したいと言い出した相手が隣国の侯爵令嬢でね。
その侯爵家は1人娘だから婿を取るつもりだと言われて、家を出て隣国へ婿養子に入っても結婚したいから、お前がこの家を継いでくれと頭を下げられたんだ」
へー そう言う事があったんだぁ。
ランドルフ様は情熱家なんだなぁ。
「もともとこの辺境伯家の仕来たりで、自分の相手は自分で見つけないといけないんだ。
親の決めた婚約者って言うものがないんだよ」
「だから、スターレン伯爵様とエリノア様もとても仲睦まじい夫婦なのですね。
私、エリノア様になれ初めを聞きたいんです。
お母様がエリノア様は憧れの的だったのに、電撃結婚で辺境領へ行ってしまったから、当時の令嬢はショックだったって聞きました」
「それは私も初耳だな。
母上は息子の私達には何も言わないんだ」
「私が聞いたら教えてくれるでしょうか?」
「そうだな… アンジェの事はお気に入りだからな、君が頼めば話してくれるんじゃないかな」
それは期待してしまいそうです。




