初めてのデート
旅に出て3日目、行程の中程にあたる町に着きました。
ここで家からきた護衛の4人は王都に戻ります。
お母様から皆さんに挨拶があり、戻って行きました。
まだお昼を少し過ぎた頃合いですが、次の大きな町まで少し距離があるため今日はこの町に宿をお願いしています。
辺境伯爵家でいつもお世話になっている宿だそうで、部屋のグレードも部屋の数も配慮してくれているようです。
お母様と私はエマ達が部屋へ荷物を運んでいる間、喫茶室でお茶を頂いています。
そこへヴォルフ様が年配の男性を連れて入って来ました。
「カミラ様、アンジェ この宿の主人が挨拶したいそうだ」
「ラフォーレ侯爵夫人並びにアンジェリーナ様。
この度はわが宿にお泊まり頂き光栄でございます。
主人のヨーゼフと申します。
何かご要望があれば、何でもおっしゃって下さいませ」
「ありがとうヨーゼフ。
お世話になります」
「この度はヴォルフ様とアンジェリーナ様のご婚約が整ったとも聞いております。
今夜はぜひ私どもからもお祝いにワインとフルーツ等を贈らせて頂きたいと思っております」
「あら、それはありがとう。
スターレン辺境伯様とは懇意の仲なのですか?」
お母様はどちらにともなく聞きます。
「ええ、王都とわが領を行き来する際は必ず世話になっていますから」
「そうですな。ヴォルフ坊っちゃんがお小さい時からお泊まり頂いておりますからね。
それが婚約です。年を取るはずです」
ヨーゼフは遠い目をしています。
小さい頃のヴォルフ様はどんな子供だったのでしょうね。
部屋の支度も出来たようで、お母様の侍女のパティが知らせにきました。
お母様は少し部屋で休むそうです。
私はヴォルフ様にお願いして、町を見て回る事にしました。
王都以外の町を見るのはこの旅が初めてなのです。
昨日は一泊する町に着いたのがもう日が暮れる頃だったので、宿から出る事もありませんでした。
「この辺では1番大きな町だけど、王都に比べると垢抜けないだろ?」
「そうですか?
どこかのんびりしていて、こちらもリラックス出来ますよ」
「確かに王都の様なギスギスとした、忙しなさは少ないな。
でも、見て回る程の所もないと思うが…」
「珍しくなくてもいいのです。
だって王都以外の場所が新鮮なのですから」
ラフォーレ領は王都からも近いのでアンジェリーナの記憶にも、こんなに遠くまで来たことがないのです。
「そう言えば、ヴォルフ様は王都からここまでの道のりを1日で来てしまうって本当ですか?」
「ああ、確かに急ぎの旅の時は王都からスターレン領まではこの町で一泊するだけだな」
私達が5日程かかる行程を2日でこなしてしまうと言うことか… 騎士の人って凄いわ。
こんな何気ないおしゃべりをしながら私達たちは町を散策しました。
これってもしかして、デートでしょうか?




