辺境伯領へ
卒業パーティーが終わると、次の新学期まで、2ヶ月程お休みになります。
前世で言うところの春休みに当たるけど、春休みってせいぜい2週間位だったから、随分長く感じる。
でも、そのお陰でヴォルフ様と一緒に辺境領を訪れる事が出来ます。
今回お母様が一緒に行ける事になって、随分大所帯の移動になりそうですね。
「お父様、行ってきますね」
「ああ、2人共気をつけて行っておいで。
ヴォルフ殿よろしく頼むよ」
「はい、しっかりお守りします」
「あなた、しばらく会えないけど、元気でね」とお母様がハグをして挨拶すると、お父様がちょっと寂しそうに言います。
「ああ、お前達がいないと家がつまらないだろうな…
でも、留守番頑張るよ」
両親を見ながら私とヴォルフ様はなんだか笑ってしまった。
いつまでも仲の良い2人は私の理想の夫婦で憧れだ。
いつかは自分達もそうなりたい。
馬車2台御者2人、侍女4人、護衛騎士は4人。ヴォルフ様の騎士2人、そして私達3人の計15人です。
それに加えて行程の丁度半分に当たる町までは、もう4人警護に当たる者も加わります。
その後はスターレン領からの護衛が待っている手筈です。
私は初めての旅になりますが侯爵夫人、令嬢が移動するって大変なのだなと、改めて実感しました。
馬車には私とお母様が乗り込み、もうひとつの馬車には侍女の4人が乗ります。
ヴォルフ様は馬で騎士たちと一緒に進むようです。
馬車が郊外へ差し掛かった頃
お母様が思い出した様に言いました。
「卒業パーティーで殿下に謝罪されたそうね?
昨日、王妃様に聞いたわ」
「王妃様に?」
お母様は王妃様と年齢も近くてとても親しくされている様です。
王妃様が私を気遣ってくれるのは、お母様のお陰でもあるかもしれませんね。
「王妃様はライアンも少しは成長出来たみたいよっておっしゃっていたわ」
「そうですか… だとすればそれはアンヌリーブ王女のお陰です。
王女は本当に聡明で思い遣りのある方ですもの」
「そう。王女様がこの国へ来ることになって、1番影響を受けたのはあなたと殿下ね」
「はい。今の私の幸せは彼女のお陰ですわ」
「ふふふ、あなたをスターレン辺境伯爵の令息と婚約させると旦那様が言い出した時は、本当に嬉しかったわ」
「そうなのですか?」
「ええ、私達の代の令嬢たちはエリノア様が憧れの的だったのよ。
とても凛々しくて格好いい方でしょ?
ダンスが上手くてね。
社交界の花だったわ」
やっぱり… エリノア様の容姿はヴォルフ様も受け継いでますものね。
「突然、エリノア様がスターレン辺境伯爵を見初めて電撃結婚をして辺境へ行ってしまわれたの…
あの時は社交界の灯が消えたようだったわ」
「え? エリノア様からのアタックだったのですか?」
「そうよ。 旦那様曰くスターレン辺境伯爵様は一見物静かに見えるお方だけど、とても頭もキレてお強いのだそうよ」
「エリノア様にあったら、詳しく聞いてみたいですね」
ますます辺境伯領に着くのが楽しみです。




