和解
「切れ者のトーマス・セルビ殿がそんな初心な男だとは、思わなかったな…」
隣でヴォルフ様が呟いた。
「うっ」ますます情けない顔をするセルビ様
でも、そんなセルビ様をエミリーは微笑ましく思っているのか、ニコニコと見つめています。
まあ、自分にぞっこんだって言ってくれている様なものですもんね。
「いや、失敬。いつもアンジェの為にご尽力頂いたと聞いている。
セルビ殿 ありがとう」
とヴォルフ様が改めてセルビ様に話しかけました。
「い、いえ。 こちらこそ殿下とアンヌリーブ王女の事ではいろいろと協力いただきましたから」
とセルビ様も気を取り直して言います。
「それは自分のためですから、こちらが感謝することですわ」
そう言って私はヴォルフ様を見ました。
「セルビ様とは、もう戦友のようです。 ふふふ」
「そうか… セルビ殿は側近として自分の使命を全うし、アンジェは己の幸せを掴む為に頑張った。
目的は違えど、同じ結果を求めて力を合わせたとそう言う訳か…」
「そうですね… 確かに戦友か…」
とセルビ様も頷いている。
そこへ今度はライアン殿下とアンヌリーブ様がやって来ました。
「アンジェリーナ嬢、スターレン殿
少し時間をくれないか?」
私とヴォルフ様は顔を見合わせました。
取りあえず嫌とは言えませんし、3人でテラスへ移動しました。
「アンジェリーナ嬢、今までちゃんと謝罪もせず、すまなかった」
「え? どうしたのです? 殿下」
「いや、前にアンヌリーブに言われたのだ、アンジェリーナ嬢に対するような態度を自分が取られたら耐えられないと。
私はそれを聞くまで、自分がそれほど酷い態度を取っていると言う自覚すらなかったのだ。
婚約者であるアンジェリーナ嬢の気持ちを私が気遣ってやらねばならないなどとは思いもよらずにいた。
私は幼い頃から一緒にいた君に甘えすぎていた事も、気づかず我儘で傲慢な態度を取っていた事もアンヌリーブに出会ってやっとわかったのだ」
なるほど、少しは成長してくれたんですね。
全てアンヌリーブ様のお陰で、やっと人の気持ちを考える人になってくれたのか…
なんか心配をしていた兄妹や家族が成長してくれて安堵したような気持ちが沸いてきた。
昔の仕打ちはもう1人のアンジェリーナの為にも私は許す気はない。
でも、その事をちゃんと認めて謝罪してくれた事はちゃんと受け止めてあげる。
「だから、アンジェリーナ嬢今まで本当にすまなかった」
「殿下、私の辛かった気持ちを分かってくださって、ありがとうございます。
殿下の謝罪はお受けいたします」
「ありがとう」
ライアン殿下はちょっとホッとしたようだ。
「殿下、アンヌリーブ様をお願いしますね。
私の大事な友を大事にしてくださいませ」
「ああ、今度は間違わないよ」
殿下はそう言って笑った。
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