卒業パーティー
会場は熱気に包まれ、皆普段のパーティーより興奮気味だった。
特に3年生は学校生活も終わり、これからは大人としての社交が待っている。
気軽で、ただ楽しんでいられるパーティーは最後に近い。
その上、今日この日に婚約者や恋人を初めて公にアピールする者も少なくない。
だから、緊張や興奮する者が多いのだ。
国王陛下の登場と門出の挨拶を頂き、ますます盛り上がりを見せている。
その後3年生達によるダンス披露と続いて、皆少しリラックスしてきたようだ。
ライアン殿下とアンヌリーブ様、トーマスとエミリーのダンスを見ながら、隣にいるヴォルフ様に話し掛けた。
「なんだか、今こうしている事が信じられないですね。
私がもしあのまま全てを諦めていたら、あそこで踊っていてもおかしくなかったんですね」
「アンジェはあの場所で殿下と踊っていたかったのか?」
「いいえ、それは… やっぱり嫌ですね。 ふふふ」
嫌って言ってしまった自分に笑ってしまった。
本当は婚約破棄されて、お披露目ダンスなんて、踊れなかっただろうけどね。
「まあ、そうなら私はここにいないけどな」
「そうですね。
ヴォルフ様、わざわざ私の為にありがとうございます」
私は何度目かのお礼を言った。
「気にするな、私がアンジェの為にしたいのだから」
ヴォルフ様も同じように何度も言ってくれる
昨日ヴォルフ様が王都に戻って来てくれてから私は何回も謝ったりお礼を言ったりしていた。
だって本当にヴォルフ様には感謝と愛情を伝えたいのだもの。
3年生のダンスが終わり、一般の誰もが踊れる時間になった。
「アンジェ踊ろう」
「はい」
私達は、ワインレッドのお揃いのドレスと礼服に身を包みダンスホールに進み出た。
10組程のペアがまたダンスを踊り始めた。
「このドレスよく似合っている。
母上がアンジェはこの色が合うと言ってね。
きっと2人のダンスが映えるって。
私もそう思ったからこれに決めたんだ」
エリノア様がドレスの細かい所も指示を出して作ってくれたみたいで、着てみてわかった事だけど、とても軽いしマーメイドラインのドレスなのに、足さばきを邪魔しないように配慮されていたのだ。
さすがエリノア様だった。
私は今、実際ダンスを踊ってみてまた驚いていた。
「このデザインなのに、本当に踊り易いです。
それにスカートがとても軽いからさばくのも楽だし…」
「それは良かった。
母上は随分こだわっていたよ。
アンジェのダンスの邪魔にならないドレスを作りたいって」
「うれしい、帰ったらエリノア様にお手紙を書きますね」
そんな話をしながら、楽しく踊る事が出来た。




