噂と殿下
学校内で、私達が毅然とした態度で男爵令嬢に苦言を呈したと噂になっていた。
他の令嬢達も同じような対応をされ怒っていたみたいだけど、言い合いや感情的になっている事の方が多く、私達の様な対応はあまりなかったみたい。
それだけに、周りで見ていた人たちが流石の対応などと言って過大評価に繋がったらしい。
「アンジェ、何か大袈裟な事になってしまったようよ。
さっきも話もしたことなかった侯爵令嬢に手を握られてお礼を言われたわ」
クラリッサが困惑していた。
私も苦笑いするしかなかった。
結局ユーリアが声を掛けてきた理由は分からないままだけど。
あれから、風紀の先生やマナーの先生に何度も呼び出しを受けているらしく、彼女も今はそれどころではないだろう。
なんにせよ迷惑なヒロインだ。
もしかしたら、そろそろ殿下の耳にも入っているかもしれないわね。
◇◇◇◇◇◇
「トーマス、 気になる噂を聞いた。
アンジェリーナが男爵令嬢を叱責したとか言うものだ」
「殿下、 それは噂が湾曲されておりますね。
男爵令嬢がいきなりアンジェリーナ様に後ろから声を掛けた事を一緒にいた令嬢が注意をしたところ、なぜいけないんだと文句を言った男爵令嬢に貴族のルールが守れない人の言う事は聞けないと毅然とした態度を取った。
というのが真相ですよ」
トーマス・セルビは事のあらましを説明する。
これを一緒に聞いていたアンヌリーブも捕捉する。
「そうですわ、 殿下。
アンジェリーナ様は男爵令嬢の行いを許したら侯爵家の令嬢としては家の威厳に関わるから、黙認出来ないと相手をするのを断っただけですわ」
アンヌリーブはクラリッサから直接話を聞いていた。
セルビにしても、アンジェリーナ本人から報告を受けている。
「そんな貴族の娘がいるのか?」
「残念ながらいるのですよ。
この男爵令嬢はつい最近転入してきたのですが、今までも貴族としての教育をされていないようでして…」
「そんなのがこの学校に入れるのか?
よく試験に通ったな?」
「学長の方にいくつかの高位貴族から苦情が入っているようですよ。
試験の基準が甘いのではないかと」
「他の生徒に悪い影響が出るのは困るものな。
アンヌリーブ、君は大丈夫か?」
「そうですね… 隣のクラスですし、私はまだ会った事ありません。
周りの人達が気にしてくれていますのよ」
「何かあったら、私に言ってくれ
私が対処しよう」
「はい、ありがとうございます。
頼りにしておりますわ殿下」
アンヌリーブ王女は殿下の扱いが上手いな。
この分なら心配ないかもしれない。
そんな事を、考えたセルビだった。




