初めての対決
「こんにちは」
後ろから声をかけられた。
私はクラリッサ達と食堂へ来ていた。
いつもカフェテリアが多いけど、今日は気分を変えて食堂のテラス席にしたのだ。
エミリーが先に行ってテラス席を確保してくれている。
私達はカウンターで注文をして、テラス席に向かっているところ、テラスに出る手前でユーリアに声を掛けられたのだ。
後ろを振り返ってクラリッサが怖い顔で睨んだ。
貴族の仕来たりにうるさい彼女にしてみれば、男爵令嬢が格上の自分達に声を掛けるなど、あってはならない。
「アンジェリーナ様ですよね? 私隣のクラスに入ったユーリアっていいます」
そんなクラリッサの圧など、ものともせず話続けるユーリア
クラリッサの気持ちが分かるから、あえて私も口を開くのをやめて様子をみた。
私達が何も言わずに立っているのを見て、やっと微妙な雰囲気に気付いたユーリア。
「あの~ 私何かしました?」
「あなた、この学校にいるって事は貴族令嬢よね?」
見かねたキャロルがいいます。
「当たり前じゃないですか」
なに言ってるんだって感じに胸を張ってます。
「なら、なぜ貴族の仕来たりを無視したような事をするの?」
そう言われてもピンと来ていない様子…
転校してから何度もこのようなやり取りはあったんじゃないのかな?
だって騒ぎになっているって聞いたし…
なのに、まだ皆が怒ったり、文句を言った意図が通じてないって事かしら?
「あなた、何度も注意を受けているのではなくって?
男爵令嬢が格上の私達に声を掛けることがマナー違反だって言っているのよ?」
業を煮やしたクラリッサが口を開く。
「ああ、それですか。
それって何の意味があるんですか?
用があるから、声を掛けているのに…」
「そう言う問題ではないのよ。
あなたが用があるって言うのはあなた側の事情でしょう?
それに私達を巻き込んだり、時間を取らせるなど、私達の迷惑は考えてないじゃない。
知り合いでも、友達でもないあなたにそんな権利はないの」
「でも、声もかけれなかったら、友達にもなれないじゃないですか」
「だから、あなたと付き合うかどうかはあなたが決めるのではなくて、こちらが決めることよ」
「そんなの変ですよ」
「だから、なぜあなたの意見を尊重しなくてはならないの?」
「えっと」
「家の格とそれによって与えられる優遇や対応がそのまま私達のプライドや尊厳を作っているのよ。
それを根底から崩されてはたまったものではないわ」
そう侯爵令嬢でいるために私達は厳しい礼儀と仕来たりを叩き込まれてきたのだ。
下位貴族の中にはそう言った教育がままならない家も多いと聞く。
そこには相容れない壁を感じる。
ここで私は初めて口を開く
「私達はね、侯爵家に傷を付けることは許されないの。
私達の立ち居振舞いがそのまま侯爵家の格に繋がってしまうから。
常に気を張ってみんなの手本になるような行いを求められるのよ。
あなたの言う事を受け入れてしまったら、次からその対応が常になってしまう。
私達が自ら貴族のルールを覆す事はありえないの。
だから、あなたの希望には答えられないわ。
この事は風紀の先生にも報告させてもらいます」
私はあえて厳しく言った。




