アンヌリーブの想い
コンコン
ドアがノックされた。
「入れ!」
入ってきたのは、アンヌリーブ王女に付いている侍女だ。
「失礼いたします、
王女様がお時間を頂きたいとの事です」
「わかった、西の温室ではどうだ?
こちらはすぐ動けると伝えてくれ」
「かしこまりました。お伝えいたします」
温室にお茶の用意をさせて、時間を見計らって温室へ向かう。
もしかしたら、私との婚約話を聞いたのかもしれない。
彼女はどう思った?
私に何を言うつもりだろう…
そんなことを考えて歩いているうちに、温室の入口まで来ていた。
中に入って用意させたテーブルに着くと、ちょうど後ろからアンヌリーブ王女が現れた
「ライアン殿下お時間を頂き、ありがとうございます」
「いや、かまわない
アンヌリーブ嬢何か問題でもあったのか?
人払いもしてあるから、気にせず何でも言ってくれ」
「お気遣いありがとうございます。
父から手紙が参りましたの。
わたくしと殿下の婚姻に双方の国が合意したから、そのつもりでいるようにと…」
「そうか…」
「殿下はもうご存じなのですね。この婚姻には殿下の意志も反映されているのですか?
もし殿下にとって不本意な婚姻であるなら、わたくしは…」
「ちょっと待ってくれ、私は嫌と言った覚えはない!
なぜ不本意などと…
あなたこそどう思っておいでなのだ?」
涙を貯めた瞳でこちらを見つめている顔は不安気だ。
彼女の気持ちが読めない。
「殿下にはアンジェリーナ様と言う婚約者がいらしたではないですか!
わたくしが間に入って邪魔をするような事はしたくありませんでした」
「それはあなたが気にやむ事ではない。もともと私とアンジェリーナも政略的な婚約だ」
「わたくしも一国の王女です。国のため父が決めたのならどんな方にも嫁がなければなりますまい。
でも、出来ることなら伴侶になる方とは気持ちを通い合わせたいと思っておりました」
「あたなは私とではそれが叶わぬと言われるか?」
顔をあげてアンヌリーブはイヤイヤをするように顔をふる。
「いいえ、いいえ!
わたくしの知る限り殿下とはよい関係でいると自負しております
でも、不安になるのです
殿下のアンジェリーナ様に対する態度はわたくしの知っている殿下ではありません」
「…」
「なぜ殿下が婚約者の方にだけ冷たくされていたのか?
それが分からない限りわたくしの不安は取り除かれません」
そう言ったあとに少し考えて意を決したように口をひらきます。
「わたくしは殿下の事をお慕い申し上げております。
だからこそ、わたくしは婚約者になった時にあのような態度をとられるなど、耐えられないのです」
もう我慢出来なくなった瞳からは涙が溢れた。




