宰相モーリスの視点
「エリザベス、この前の話何だが…」
国王陛下は妻の顔色を伺いながら言った。
「ライアンの婚約の話ですか?」
「ああ、ファンブール公国に打診を送ってみた、あちらはこの前のクーデター騒ぎでそれどころではないと思ったんだが…」
「まあ!いつもなかなか動かない貴方にしては、随分と早い決断でしたわね」
国王陛下に、こんな嫌みを言えるのは王妃様だけだろう。
どんな顔をするべきか?
考えあぐねている私は宰相のモーリス・エバーソンと言う
我が君主は奥方であるエリザベス様には頭が上がらない
これには深い理由があるが、ここでは言えない。
そのなかなかノーと言えない相手から、隣国ファンブールとの友好の為、アンヌリーブ王女とライアン殿下の婚姻を結んではどうかと提案があった。
だがライアン殿下には、すでにアンジェリーナ嬢と言う婚約者がいる
しかもそのアンジェリーナ嬢は王妃様のお気に入りだ。
王妃様は何をお考えなのだろうか?
王妃さまの思わくは分からないが、この提案はとても魅力的な話ではある。
ファンブールは今まで隣国でありながら、あまり親しい国交を行えなかった国である。
アンヌリーブ王女を保護し、我が国で滞在してもらっているこのチャンスを最大限に活かしたいい案なのだ。
しかもライアン殿下もまんざらでもない様子。
私と陛下はこの話を検討し、試みる事にしたのだ。
するとどうだ!
相手国から、色好い返事が返ってきた。
その報告を王妃様にしようとしているのだが…
陛下は話の腰を折られる結果になっている。
陛下、頑張って下さい。
「そ、それでだな、ファンブール公国の方では願ってもない話しだと、とても乗り気な返事が返ってきたのだが…」
「エリザベス、そなたはアンジェリーナ嬢にはこの話しているのか?」
「そうですね、少しだけですが…」
「そうか、ラフォール侯爵にも了承を得ないといけないが、宰相それとなく先に話をしておいてくれ」
「畏まりました」
「陛下、ライアンにはもう話してありますの?」
「いや、そなたからライアンの気持ちを聞いてみてくれぬか?」
「…わかりましたわ」
これで、この話はほぼ決まったな。
私は王妃様から文句が出なかった事に安堵した。




