最高のダンス
ジュリアス殿下に自分の気持ちを聞いてもらったら、曲が終わった後も壁際のソファーで話混んでしまった。
さすがにそろそろ戻ろうと立ち上がったら、前からヴォルフ様がやって来ました。
「殿下、お姉様とのダンスを許して頂けますか?」
「スターレン殿、姉様のダンスの先生だと聞きました。
アンジェ姉様にそこまで言わせるお手前がどんなものか、お二人のダンスが観てみたいです」
「では、ジュリアス様次の曲をリクエストしてきてくれませんか?」
私はそうお願いしました。
どうせなら、難しい曲がいい。
ダンスの技量のいる曲でヴォルフ様との練習の成果を出したいです。
ジュリアス殿下は私の頼みを快く応じてくれて、楽団の所まで言いに行ってくれました。
「今日はとても有意義な時間を過ごしました。父、兄、弟とダンスができましたもの」
そう言ってヴォルフ様の顔を見上げました。
ヴォルフ様はとても優しい眼差しで私の視線を受け止めてくれていました。
「では、最後はあなたのダンスで今の心境を伝えてみますか?」
「まあ! 出来るかしら?」
「いつものように楽しく踊ればいいのでは?
普段私と踊っているあなたはとても楽しげで素敵ですよ」
そう言って私をダンスホールの真ん中までエスコートしていきます。
曲が始まり私達は踊り出します。
さすがにこの曲ではお喋りを楽しむ余裕はありませんね。
でも、毎日一緒に踊っていたヴォルフ様だからこその2人の間の無言のやり取りがありました。
ここはちょっと早くスパッとキレ良く、つぎは流れるように優雅に…
など、言わなくても2人だけのダンスでの会話です。
いつの間にか踊っているのは私達だけでした。
でもその分観客がずいぶん増えているような…
曲が終わり息を整えてお辞儀をした瞬間、耳がおかしくなったのかと思う程の拍手と歓声が聞こえました。
周りを見るとパーティーの出席者の半分以上の方々が集まっていました。
その中には家族も王妃様たちもいます。
びっくりしましたが、もう一度挨拶にお辞儀をすると、なんとアンコールの要望をもらってしまいました。
みんなが手拍子をしています
いやいや、普通にあり得ないことです。
婚約者でない方と何度も踊れないのは貴族間の暗黙のルールだし… と戸惑っていると、王妃様が前に出られ、
「真面目なアンジェリーナの事だから、貴族のルールが… とか思っているのでしょう?
でも、あなた達のダンスは芸術品よ
皆の観賞として、踊ってちょうだい」
そう仰いました。
ヴォルフ様を見ると頷かれています。
楽団の方に違う曲をリクエストして、また2人で踊る為に向かい合いました。
曲が流れて踊り出します。
この曲も先程同様上級者向けのもので、2人で何度も踊ったものです。
こうして大観衆の中で2人だけで踊っていると、まるで結婚披露のダンスのようです。
ああ、そんな日が来ればいいのに、アンジェリーナが幸せになる夢のような日々を願いながら、今日1番のダンスを披露しました。




