本当のアンジェリーナ
食堂へ行くと銀髪の美しい青年が座っている
ウォルター・ラフォール 私の兄。
「アンジェ今日のドレスよく似合ってるね。
なんかスッキリしてて、いい感じ。」
兄は目を丸くして驚いたように、誉めてくれる。
「ありがとうウォル兄様」私は微笑んでお礼を言う。
「アンジェは今度からその線でいった方がいいよ
大人っぽくて、美人が引き立つ」
うーんさすが女性の扱いが上手いな~
心の中ではイケメンな対応に感心する。
ウォルターの前の席に座ると、ちょうど両親が入ってきた。
日常でも、ちゃんとエスコートするんだー
変なとこに感動してしまった。
前世の世界ではレディーファーストとか無縁だったし、さっきみたいに、面と向かって誉められる事もなかったから、スッゴい新鮮だった。
食事が始まり、お父様が口を開いた。
「アンジェリーナ、今日王城でライアン殿下にお会いしたよ。
誕生日パーティー楽しみにしてると伝言だ。」
「そうですか… お父様ありがとうございます。」
確かラフォール侯爵は副宰相をしていたはずだな…
仕事でたまたま会ったのかしら?
「あら?アンジェリーナ嬉しくないの?」
母のカミラにそう聞かれて、ちょっと困った…
だって嬉しくないもん。
これから婚約破棄されるし。
「そんな事ありません、ちょっとびっくりして…
招待状をお渡しした時も素っ気なかったから…」
これは本当。
アンジェリーナの記憶が流れ込んできた。凄くショックだったみたい。
かわいそう~
何か自分の事なのに、そんな風に思ってしまった。
「それに、お返事をまだ頂いておりません」
「「え?」」両親が驚く。
普通は準備のためにも、遅くても1ヶ月前くらいには返事を返すらしい。
招待状を渡したのは、まだ秋と言っていい頃だった。
これもアンジェリーナの記憶から。
「忙しくて、勘違いしてるんじゃないのかな?
父上、それとなく聞いてもらっては?」
兄にまで気を使われちゃった。
「そ、そうだな。、明日宰相様に相談しておくよ」
「そうそうパーティーのドレスは出来て来たのでしょ?」
お母様が話を変えてくれました。
「はい。でもちょっと直したくなって…
お母様まだ間に合うでしょうか?」
「あらあら、そうなの? じゃあ明日シュビレーを呼んで相談なさい。」
シュビレーとはお母様が出資している洋服店のデザイナーなのね。
流れ込んでくる記憶がまるで同時通訳のようだ。
アンジェリーナには悪いが私とおしゃれの趣味が合わなかった。
というか、もともとアンジェリーナがそこにあまり興味が、なかったらしい。
侯爵令嬢でこんなに美人なのに、珍しいし、勿体ない。
今着てるドレスも、私の趣味で選んだから、いつものアンジェリーナっぽくなかったらしい。
エマにもびっくりされたし、お兄様もさっき驚いた感じだったもんね。
クローゼットの沢山のドレスも何か統一感のない趣味のバラバラな感じだった。
女の子の衣装ってそれなりに個性やこだわりが見えると思ったのに、アンジェリーナにはそれが感じられなかった。
彼女の記憶からはドレスや宝石より、本を読んだり温室の花の世話のが楽しいと言うような思いが流れてきた。
全然悪役令嬢的な要素ないじゃん。
こんなに中身も可愛いアンジェリーナを私はすぐに好きになった。
前世でマンガを、読んでる時には分からなかった等身大のアンジェリーナは悪役令嬢ではなく、とても素敵な侯爵令嬢だった。




