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セルビ様からの快諾

その部屋は文官や補佐官などが

使う応接室のようです。


「アンジェリーナ嬢、お久しぶりです」


「セルビ様、ご無沙汰しております。もうすっかりこの王城に馴染んでおいでですね」


「そうですか?

出来る事ならもう1年学校へ通ってエミリーともっと思い出を作りたかったですがね」


あら? セルビ様ったらそんな軽口を言える程雰囲気が砕けて…

こんな珍しい…いや、 変わられたのかしら?


私が目を丸くして、見つめていると。


「私がこんな事言うのが可笑しいですか?」

と笑いながら聞いてきた。


「可笑しいと言う訳では… でも何だかそんなイメージがなかったので驚いてしまったのですわ。

だって、卒業パーティーの時はエミリーの着飾った姿さえ、直視出来なかった生真面目なセルビ様がそんなノロケにも聞こえそうな軽口を叩かれるなんて思わなくて」


「確かにそうですね。

でも、婚約者が出来てエミリーと交際を深める内に、本当に大事な存在になったのは確かです。

それに周りの先輩方からも気持ちをしっかりと伝える大切さも教わりましたから。

あなたもその1人ですよ。

あなたの行動や考えは私にとても影響を与えてくれましたからね」


そう言って微笑まれる。


私がセルビ様に影響を与えたなんて考えもしなかったです。


セルビ様は私がライアン様を避けて行動する姿などを見守ってきていろいろ考えたのだと言いました。


自分では一体何がそんなにセルビ様に興味深く響いたのか、分かりません。



「それより、聞きましたよ。災難でしたね。

もう大丈夫なのですか?」

セルビ様はバルバラ様に拉致された事を言っているようです。



「はい、もうすっかり。

元の生活に戻っています」


「学校でのジュリアス殿下のお妃選びの騒ぎはここまで聞こえて来ておりました。

あなたの活躍もね」


「出来れば、もう王家とは関わりたくなかったって言うのが本音ですが、そうもいかなくて。

流石に王妃様じきじきのお願いを断れる訳もなく、観念したのですわ」

王宮内にいると言うのに、セルビ様しかいないと思ってついつ本音がでてしまったわ。



「王妃様にとってあなたはもっとも信頼出来る存在ですからね」


「そうでしょうか? もう息子の婚約者ではありませんよ?」


「私が王妃様から命を受けていた事は知っているでしょ?

あの方はライアン殿下よりもあなたを優先していたのですよ」


「確かにとてもよくはして頂いていました。

拉致された後も何度も謝って頂きましたし、王妃様には今でも娘同然だともおっしゃって頂きました」


「おっしゃる通りです。

婚約解消を後押ししたのも、すべてはあなたの為です。

王妃様にとってはあなたこそが大切で、ファンブール公国との繋がり強化なんて陛下を説得する建前でしかない。

どうぞ、王妃様のあなたへの気持ちは受け止めて上げて下さい」


セルビ様は私が王妃様から距離を置かないで欲しいといっているのかな?


「ええ、分かっております。

この後も王妃様にご挨拶にいく予定ですわ」


「そうですか」

少しホッとして見えるセルビ様。

彼の中では仕える序列がありそうだ。

彼は今でも王妃様を一番大事な主人と思っていそうだな。


「話は変わりますが、セルビ様は私が見た未来の話を覚えておいでですか?」


いよいよ、本題に入ります。


「もちろんです。私達の関係の全てはそこから始まったのですから」


「私の婚約破棄もなく、追放もされず、不幸な未来は回避したと思います。

でも、もう少し先の未来の話も続いていた事を思い出したのです」


私は自分が王都追放された後、ライアン殿下とヒロインの間に割って入ってくるライバルの出現を説明しました。


「セルビ様もご存知の通り、私の見た未来とは違いヒロインはユーリアではなく、アンヌリーブ様になりました。

でも、起こる事柄は少しずつ重なるのです」


私は留学してきたキリガス国のフリオール殿下が恋のライバルになる男性で、ヒロインに言い寄ってきて三角関係になり揉めることになる話をした。


「今の所、私が見た未来と重なっている事象はフリオール様がこの国に来た事とライアン殿下のお相手であるアンヌリーブ様と同じクラスになった事。

この2つですが、これ以上未来が現実になる事は避けたいのです」


「今はライアン様はファンブールですからね。

その点では揉める事は出来ないが婚約者のアンヌリーブ様にちょっかいを掛けられるのは黙ってられませんね」

話を聞いて険しい顔で考えているセルビ様。


「相手がユーリアではない分、アンヌリーブ様なら簡単に心を許す事はないでしょう。

でも事実がなくとも、噂が広まる事もありますよね?

お2人が同じ王宮にいると言うのも事実。

私はこの王宮内で噂が出るようなきっかけを全て潰しておくべきだと思うのです」


私は学校でまったくのデマが広がった事をセルビ様に思い出してもらいました。

あの時は、信じていない者が殆どだったし、社交界などで広まった訳ではないから、私への被害は殆どなかった。


けれど、第1王子の婚約者と隣国の第3王子の許されぬ恋なんて、王宮の侍女達や社交界の暇な令嬢達の格好のネタになってしまう。

こんな話が広まれば事実無根だとしてもアンヌは傷付くだろう。


「なるほど、確かに学校内での噂とは比較になりませんね」

とセルビ様も噂の危険性を分かってくれたようです。


「先程、ジュリアス殿下とも話をして協力を仰ぎました。

私は学校内では、全力でアンヌリーブ様を守ります。

決して1人にはしないように」


「分かりました。王宮内の事は殿下と相談して万全の態勢を目指しましょう」

と請け負ってくれました。


これで、少しは安心できます。


まだまだ先の展開は予想出来ませんが、何事もありませんように。


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