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くれぐれも内緒で

「姉上の言いたい事は分かりました。

それで僕は何をしたらいいのですか?」


ニヤケた口元を必死に手で隠している私にジュリアス様が言います。


「私の言う事を信じてくれるのですか?」


「最初は驚きましたけど、姉上がそんな嘘を私に付く理由がありませんからね」


つまりは私の説明で納得した訳ではないが、私達2人の間でこんな嘘を言って騙す意味もないから信じるって事かな。


「先ほどもいいましたが、アンヌリーブ様が傷付いたり、振り回されたりする事は絶対に避けたいのです。

学校では私達が一緒にいられるので必要以上にフリオール様と関わらないようにしますが、アンヌリーブ様が王宮にお戻りになった後は私達では何もできません」


「王宮に戻って来てからのアンヌリーブ姉上様を見守ればいいのですね?」


「ジュリアス様自らでなくても、アンヌリーブ様のお側にいる侍女や護衛騎士にそれとなく気を配ってもらってほしいのです。

王宮では1人になる事はないと思いますが、いくら隣国の王族同士でも男と女である以上個人的に接触があれば噂が立つかもしれません」


「確かに事実でなくてもそんな噂が広がる様な事はアンヌリーブ姉上様だけでなく、王家にとってもいい事ではないですね」

握った手を口元にあてて、考えているジュリアス様。


「フリオール様はよくも悪くも社交的な上、飾らない性格の様ですから、同じクラスになってそれなりに話す様な間柄になったらアンヌリーブ様に、会いに行く可能性はあるのではと思いました。

それを警戒してほしいのです」


「分かりました。侍女たちには隣国の王子は大変気さくな方らしいので、くれぐれも姉上様との接触には注意をと釘を差します。

大丈夫、アンヌリーブ姉上様に付いている侍女達は母上が厳選したベテランばかりだから相談すれば、意図はしっかり伝わります」


王妃様が育てた侍女達はプロフェッショナルだから、そうしてもらえれば安心だ。


「くれぐれもアンヌリーブ様には内緒でお願いしますね」

私は最後に念を押しました。



       .......



王宮に着いて、馬車を下りるとジュリアス様を迎えた王子宮付きの侍従長が私にあいさつをしてきた。


「アンジェリーナ様、お久しぶりでございます」


「侍従長、お元気でしたか?

ご無沙汰してしまいましたね。

今日は宰相補佐のセルビ様に面会をお願いしておりますが、迎えは来ておりましょうか?」


私は今朝、王宮の宰相様の執務室へお願いの書簡を送っていた。


「はい、こちらの者が」

と侍従長が言うと、横から1人の騎士が頭を下げた。


「アンジェリーナ様、こちらでお待ちしておりました」


「では、姉上そちらの用が済みましたら王妃宮へおいで下さい。

姉上と一緒に戻ってきたのに、母上の元へ連れていかなければ、怒られますからね」

とジュリアス様は後で王妃様と3人で会う事をお願いしてきます。


そうですよね。

このまま帰ったら、後でなぜ来てくれなかったの?と王妃様から手紙が来るのは必至です。


それに、もしかしたらもう王妃様の元へは私が王城へ来たと知らせが届いているかもしれません。


これは仕方がない事ですよね。


「わかりました。では後ほど伺いしますと言伝てを、お願い致します」

と頼んで私はセルビ様の元へ急ぎます。


騎士に案内されながら、王城の本館の中を見るともなく目を向けていると、城の中枢とも言える本館にはなかなか来ることがなかったなぁと気が付きました。

私は王妃宮や王子宮に行く事が殆んどでしたが、やはり王妃宮などより、硬い雰囲気でどこか緊張感が漂っています。


騎士に、案内され通された部屋にはすでにセルビ様がいらっしゃいました。



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