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弟よ、信じて

フリオール様が出ていかれた後、ジュリアス殿下と残された私は気まずい。

男性に免疫がない事を弟に見られてしまっては、姉としての立場が。


「大丈夫ですか? 姉上」


「だ、大丈夫です。 知っての通り私は今まで男性にあまり免疫がないので、不意打ちの対応は…」

しどろもどろの返事をしてしまう私を楽しそうに見ているジュリアス殿下。

「何か言いたそうですわね」

ちょっとむくれながら言うと慌てて弁解してくる。


「ごめんなさい、何だか姉上が可愛らしくて。

僕のお妃候補の件ではとても頼もしい姉上だったのに、小さい頃と変わらず照れ屋さんなんですね」

小さい頃か。

よく3人で遊んでいたものね。

あの頃はまだライアン殿下にも避けられてなかったし。

一時期は仲良く過ごしていた事もあったな。



フリオール様が現れてからよくライアン殿下の事を思い出す様になった気がする。



「そろそろ行きましょうか」

ジュリアス殿下にエスコートされながら、教室をでました。


ジュリアス殿下が小さい頃…なんて言うから、馬車まで歩きながら2人で昔話に花を咲かせることに。

お城の裏庭で迷って怒られた事。

ジュリアス様が熱を出して寝込んだ時にお見舞いに持っていったアップルパイをライアン様に食べられてしまった事。

2人でこっそり屋根裏まで探検に行った事。


なんだろう… 今までチラホラ浮かんでいたアンジェリーナの思い出がここへ来て溢れるように次々に出てきていた。


この前、フリオール様に覚えているかと問われてアンジェリーナの記憶を一生懸命引っ張り出したからかしら?


馬車が動き出したところで、気を取り直してジュリアス様を見ます。


「今日は私の秘密をお話ししたいのです」

先程より、真剣な顔で言う私を見てジュリアス様も姿勢を正してくれます。


「秘密…ですか?」


「はい。 実は16歳の誕生日を迎えるちょっと前に私は予知夢の様なもので、未来を知ってしまったのです」


「未来?」

怪訝そうなジュリアス様。


私はゆっくり説明します。

まず、自分の見た未来ではライアン様が別の低位貴族の娘と恋仲になり婚約破棄され、修道院へ送られる運命だった事。

「未来の私は婚約者を取られた事で正気を失い浮気相手の令嬢に嫌がらせをして、ライアン様を怒らせ修道院へ入れられてしまうのです」


「そんな… ただの夢だったのではないのですか?」



「いいえ、その証拠に浮気相手となる筈だった男爵令嬢は途中から編入してきました。 名前も夢でみたまま同じでしたし、何かにつけてライアン殿下にちょっかいを出していました」


「え? そんな事があったんですか?」驚くジュリアス様。


「ええ、この話を私は事前に側近であるセルビ様に相談して力を貸してもらっていましたから、その令嬢が殿下と絡む事は殆どありませんでしたし、それに彼女が現れた時にはライアン様の横にはもうアンヌリーブ様がいらっしゃいましたから」


私はこの未来を知ったから婚約を解消するべく、いろいろと動いていた事。

そして私が未来と違う事を始めたからかどんどん違う未来に変わり、出てこなかった筈のアンヌリーブ様がこの国に現れて今の結果になっている事を話した。


じっと考えながら聞いているジュリアス様。

一体どこまで信じてくれるかしら?

いいえ、信じてもらわなければ、この後お願いができません。

何とか納得してもらわないと。

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