第三王子
「キリガス国の王子殿下とは知らず、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。
殿下は私をご存じだったのですか?」
「ん? では、やっぱり君がアンジェリーナ嬢か。髪の色を見て僕も思い出したんだけれどね。
君は覚えていないかな?
ライアン殿下の13才の元服の儀式の時に君とライアン殿下に挨拶したんだ。
あの時は第二王子である兄と一緒だったかな」
うーん元のアンジェリーナの記憶をズーと辿ってもアンジェリーナ自身が曖昧なようで、上手く思い出せなかった。
この国では13才になった男子はその家の大人の一員として、認められお祝いをする。
王家でもそれは一緒で、ライアン殿下が13才の時に国中でお祭りのようにお祝いをした。
そして近隣の国々からお祝いにたくさんの来賓が来たのは覚えていた。
だけど、アンジェリーナはまだ11才でその上、大勢の知らない外国の王族やそれに付随する大人に挨拶をして、その大人に付いて来た王子や王女の事を1人1人覚えているなど、とてもじゃないが無理だった。
「申し訳ありません、あの時の思い出は死ぬ程沢山の方々に挨拶をさせられた事以外記憶になくって…」
「あははは、そうだよなぁ 僕も君の髪の色しか覚えてなかったからね。
それで、ライアン殿下は元気かい?」
あれ? この方は私達がもう婚約関係にないと言うことを知らないのかしら?
アンヌと婚約を結んだ時に、交流のある国々には知らせているはずなのに…。
「恐れながら、殿下はまだ私がライアン殿下の婚約者であると思っていらっしゃいますか?
キリガスの国にも、ライアン殿下が新たにファンブール公国のアンヌリーブ王女と婚約をした事はお知らせしていると思うのですが」
と私は状況の訂正をします。
「え!? それは知らない事とはいえ、失礼した。
申し訳ない。 言い訳をさせてもらえれば、実はこの2年程国に帰っていなくてね。 そのままこちらに来てしまったので、各国の情報には疎いんだ。
その…アンジェリーナ…」
とまた頭をかいています。
「私の事はお気になさらず、この国での立場も悪くなっていませんし。そもそも傷付いてもいませんから。
それよりも明日から殿下が入るクラスにアンヌリーブ王女もいらっしゃるので、間違ってもその様な話はしないで下さいませ」
とお願いした。
そう、アンヌが傷つくような事にはなってほしくないもの。
ここは、しっかり釘をさして置きたかった。




