あこがれの人とのダンス
「そんな訳でお前が殿下なんかと婚約してなけりゃ兄としてヴォルフを薦めていたんだが…」
私が兄様の事に想いを馳せていたら、とんでもない事を言い出してる
「ちょっ! ウォル兄様ヴォルフ様に失礼ですわ、それに殿下なんかは不敬ですよ。
誰かに聞かれたら」
私は周りを伺った。
「大丈夫さ、3人以外聞いてない」
「私だけならいいですけど、ヴォルフ様が困りますよ」
チラッと様子を伺うと
ヴォルフ様も苦笑いしてる。
「いや、アンジェリーナ嬢、殿下の今回の非礼の件は伺っていますよ。
まあ私も誰もいないところなら馬鹿王子とでも言ったかな…」
私は目を丸くしてから、吹き出してしまった。
ちょっとはしたないけど…
「ふふふ、ありがとうございます気を遣って頂いて。
いつもの事ですので、私は気にしておりません。それよりあの方がいらっしゃらなかったので、変に気を遣わず自分の誕生日パーティーを満喫しております」
「そうか… では満喫次いでにダンスなど如何かな?」
うそ!?
キャーやっぱり殿下がいなくてよかった!
「よろしくお願いします」私はニッコリ笑って言った。
ヴォルフ様は優しく私の手を取り兄様に断りを入れて、ダンスフロアに移動した。
最初の御披露目ダンスはホールの中央で踊ったが、その後はとなりの小ホールで好きな時にいつでも踊れるようになっていた。
小ホールでは3、4組がダンスを楽しんでいた。
エミリーたちもいて、クラリッサが踊っているのを2人が壁際のソファーで座って見ていた。
私はチラッとエミリーとキャロルに目配せで挨拶して、クラリッサと入れ違いで中央へ進み出た。
ヴォルフ様は兄様より背が高い、ちょっと見上げるような角度でホールドを組む。
曲が始まり踊り始めると直ぐにヴォルフ様がとてもダンスが上手いことに気がついた。
ウォル兄様もダンスは得意だし、よく練習に付き合ってもらったので、先ほども息の合った踊りが踊れた。
だけどヴォルフ様は初めて踊るのに全然無理がなく、リードも確かだった。
「兄様以外にこんなに踊りやすい人って、私初めてです」
私がそう言うと
「それは光栄だ、普段騎士なんて不粋な事をしているから踊る機会はないんだが、私の母がダンスが好きでうちの男兄弟はみんなスパルタに訓練させられたんだよ」
「まあ、そうだったのですか… でもこれからきっと役に立ちますわ
女性は上手いリードをされると好意を持ちますもの」
「そう言うものか…」
「ええ」
あれ?これじゃあ私が好意を持ったって言ってるようなものかも…
まだ婚約中だし、気の多い子だと思われてしまうかも!
「あ、あの一般論ですので、その… 変な意味では…」
私をキョトンとした顔でみて、直ぐに笑顔で
「分かっている、大丈夫だ」
うーん大丈夫って言われると、ちょっと落ち込むけど、今はしょうがない。
曲が終わり、向き合って会釈をする。
「ありがとうございます とても楽しかったです」
「私もだ」
そしてまた、兄様のところまで送ってくれた。
はあ~ すごい紳士的じゃない。
ちょっと女性になれていないような感じも好印象だわ!
はあ~あ 嬉しいけど、まだ何も動けない。
でも、結婚もされてないし、お相手もいないことはわかった!
これは朗報よね。
また密かにガッツボーズをする私だった。




