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教科書

オレリア様がそっとミレーヌ様を抱きしめました。


「オレリア姉様?」


「よかった。あなたが周りに興味を向けてくれて。

このまま自分ひとりの世界で生きていこうと思い続けるのではと心配していたのよ。

学校へ行く気になってくれて、本当によかったわ」

と涙を浮かべながら言うオレリア様。


本当に妹の様に思っているのですね。



「ジュリアス殿下、ありがとうございます。

ミレーヌの気持ちを変えてくれたのはすべて殿下のお陰ですわ。

殿下がミレーヌを気遣って何度もここへ足を運んでくれた事が頑なだったミレーヌの心を溶かしてくれたのです」

もうひとりの姉様のリゼット様はジュリアス殿下にお礼を言っているのが見えます。


お二人とも嬉しそうでよかった。


そう言えば、ノエラ様はどこへ行ったのかしら?

気が付けばノエラ様の姿が見えません。


「そうだわ、学校へ行きたいけど、私の教科書はバルバラ様に取り上げられてしまったのだわ。

もう一度買い直さないといけないわね」

とミレーヌ様が誰ともなく言っていると。


「大丈夫よ。ミレーヌ」

先程まで姿の見えなかったノエラ様が教科書を抱えてやって来ます。


はあはあと息を切らしながミレーヌ様の前まで来たノエラ様。


「あなたの教科書は私が大事に預かっていたわ。

バルバラには捨てろって言われたけど、そんなこと出来ないもの」

そう言ってミレーヌ様に教科書を渡します。


「ノエラ… ありがとう。

あら、これは?」

教科書の上に数冊のノートがありました。


「私はあなたの様に頭が良くないから、私が取ったノートなんて逆に邪魔になるかもしれないけど、少しでも授業が分かればと思って」

ノエラ様はもじもじと恥ずかしそうに言います。


ノートとをめくって中を見ながら驚いているミレーヌ様。

「ありがとうノエラ。これはしっかり使わせてもらうわね」

そう言って笑顔を向けるミレーヌ様の目にまた涙が戻って来ていました。




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