馬車での帰路
アラン様の部下に馬車の御者とヴォルフ様の馬をお願いし、私とヴォルフ様は一緒に馬車に乗り込みました。
いろいろありすぎて、精神的にダメージを受けている私をヴォルフ様が気遣ってくれた結果です。
隣に座り肩を抱いて、手を握っているヴォルフ様。
「本当はすぐに助けに行きたかったんだ。
だけど、ここでしっかりバルバラ嬢の悪事を突き止めておかないと、また今回の様な事が起きかねない。
何とか我慢してくれと説得されてね。
アランとは知り合いなんだ。
彼は信頼できる男だから、渋々承知したんだよ」
アラン様とは騎士団時代の知り合いだったのですね。
「来てくれてありがとうございます。
ヴォルフ様の顔を見たら凄く安心しました。
駄々っ子のように喚き散らすバルバラ様を前にあまりにも話が通じない事が恐怖でした。
何だか狂気を感じて体が震えてしまっていて、途方に暮れていた所だったのです。
本当はアラン様に真相を聞いても直ぐには気持ちを切り替える事も難しくて。
でも、ヴォルフ様の顔を直ぐに見れたお陰で今はすっかりショックから抜けました」
「アランに聞いたが、もともとオードラン侯爵も怪しげな男達を雇って裏でいろいろやっていたらしい。
それをバルバラ嬢は知っていて真似をしたようなんだ。
今回の事は侯爵は知らないかもしれないが、今までの悪事もアランは調べているようだから下手をすると侯爵家がひとつ潰れるかもしれないな」
何となくそんな気はしていたけど、やはり親子揃って愚かな行いをしていたと言う事なのね。
怖い思いをした甲斐はありそうだけれど。
もう二度とごめんだな。




