ヴォルフ様とのスキンシップ
ヴォルフ様によると、オードラン侯爵は伯爵家の次男で侯爵家に婿に迎えられた経緯があるようです。
妻であるオードラン侯爵夫人は数年前に流行り病にかかり命は取り止めたものの、それから体調が思わしくなくて領地に引きこもっているとか。
バルバラ様がわがまま放題になったのも母親が近くにいない上に父親は娘を放ってばかりで、うるさくされたくなくて、何でも言う事を聞いていたのだろう。
子供の為でなく自分のための甘やかし放題と言う訳だ。
貴族では、親子の関係が希薄な人達も少なからずいるけれど、子供の頃母親も近くにいない、父親も自分に興味を持ってくれない状況が今のバルバラ様を作ってしまったのかな。
同情する部分もあるけど、それが人を貶めていい理由にはならない。
少しでもバルバラ様に良心がある事を願おう。
「ヴォルフ様今日はお父様も早く帰れると思いますから、晩餐をご一緒にいかがですか?」
「すまないアンジェ。
まだ仕事が、残っていてる。
取りあえず君の顔だけ見に来た次第でね。
明後日には一段落して、早めに王城から戻れると思うので、また伺うよ」
「そうですか、わかりました。
お仕事頑張って下さいね」
私達は部屋を出て玄関に向かいます。
「では、明後日にご一緒してくださいな。
両親にも伝えておきますので」
「ああ、楽しみにしている」
そう言って私の額にキスを落とすヴォルフ様。
婚約後、こう言うちょっとしたスキンシップをさらっとしてくるヴォルフ様に私はドキッとさせられています。
嬉しいけど、家の者にも見られる。
ヴォルフ様が帰った後は皆が私を生暖かい視線を向けるから、いたたまれません。




