オードラン侯爵
あの食堂での騒動以来バルバラ様は学校に来ていないようです。
そのため学校内はとても平和です。
皆さんも、もう噂話で騒ぐこともなくなってきていました。
ジュリアス殿下がオードラン家に送った抗議文により、オードラン侯爵は慌てて王城へやってきて殿下に面会を求め謝罪を行ったそうだ。
でも、その時も娘は殿下を一途に想いすぎた為に軽率な行為を繰り返してしまっただけなので許してやってほしいと言い出し、余計ジュリアス殿下を怒らせたらしい。
親子揃って懲りない人達なのです。
王妃様が密かにこれまでのバルバラ様について調べてくれている。
言い逃れの出来ないような、やらかしが見付かるといいのだけど…。
そんな中、ヴォルフ様が王都に帰って来られました。
辺境伯のおじ様の代わりに王城に出す報告書の提出と毎年行う幾つかの手続きの為に戻って来たようです。
「アンジェ 元気だった? ジュリアス殿下が入学したし、学校も楽しくやってるかい?」
この騒動をまだ知らないヴォルフ様が弟と一緒に学校生活を送れて楽しいだろと言ってきました。
手紙を書く暇もなかったので、まだヴォルフ様には何も話してないのです。
「ヴォルフ様、それがいろいろありまして…」
私は王妃様に頼まれた事から、今までの出来事を話しました。
「そうか、それは随分と大変だったね」
ヴォルフ様もバルバラ様の所業には驚いていました。
「オードラン侯爵家は先代はとても厳しくて王家に対する忠誠心も厚かったと聞いたことがあるけど、今の侯爵は確か伯爵家から婿に入った者だと思うよ」
ヴォルフ様が私の知らない話を披露してくださいました。




