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弟の姉離れ

王妃様に一通りの報告が終わり、オレリア様、リゼット様と私はそれぞれの迎えの馬車に向かいます。


「姉上」


馬車に向かう途中ジュリアス様が戻ってきて声を掛けられました。


「ジュリアス様、今お戻りですか?

ミレーヌ様とのお勉強は進みましたか?」


「え? 姉上は私がミレーヌ嬢の所へ行っていた事を知っていたのですか?」

と驚いています。


いやいや皆分かってましたよ。


「ジェームス様に仰ったでしょう?

授業の進みを教えにいくと」



「そうか… そう言えば言ったかもしれません」


「皆、そこまで責任を感じる必要はないと思っていますが、姉としてはジュリアス様はその事だけでミレーヌ様の事を気にしている訳ではないように思えるのですが… 」

ちょっとかまを掛けてみました。



「えっ? それは…

ふー、姉上にはかなわないな。

ミレーヌ嬢と話をするのは楽しいです。

彼女の考え方は私に新しい驚きを与えてくれたりします。

それに、とても可憐な方で男として守ってあげたくなります」

と顔を真っ赤にして話してくれました。


もし皆のいる所で聞いたら、はぐらかされたでしょう。

でも、今は2人だけです。

それがよかったのでしょう。

ジュリアス殿下の本心が聞けました。


これはいよいよ私もミレーヌ様に会ってみなくてはね。


「今度は私も一緒に連れて行ってミレーヌ様をご紹介下さいな」


そう言うと、コクンと頷かれました。

それを見て昔お城のお庭でよく2人で遊んでいた時の事を思い出しました。


あの頃は、私がこの子の姉として守っていかなければと決意していましたよね。

でも、もう少ししたら私が守る必要もない立派な青年になるのだろうな。


なんだか、ちょっぴり寂しく感じてしまいました。



ジュリアス殿下と別れ、馬車に乗り込み帰りの家路は感傷的な気分で馬車の外をぼーと眺めてしまいました。


本当は明日からの事を考えようと思っていたのに…


今日はもう頭が回りません。

何だか次から次に小さな頃のジュリアス様との思い出が溢れてきました。


何だろう、親離れした息子を見て寂しさを感じている母親の気分なのかしら?



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