ジュリアス殿下について
「それで、ジュリアスの様子はどう?」
王妃様は心配そうに聞いてきます。
先程の報告でも、質問をしてきた半分以上はジュリアス様についてでしたものね。
なんだか、息子をとても心配する母の姿ですね。
でも、ライアン殿下にはそんな様子はなかったのに…。
ちょっと王妃様のイメージが違って見えました。
私達はジュリアス殿下がバルバラ様に対して毅然とした態度を取った事。
これまでは出来るだけ、騒ぎにしたくなさそうだったのに、侯爵家に抗議文を出すと言い出した事。
そしてそのどちらの行動もきっかけはミレーヌ様にあるようだと言う事を報告いたしました。
「そう… あの気弱なジュリアスがね」とちょっと嬉しそうな王妃様。
「それでダンテール公爵令嬢はどんな方なの?
あなた達のお眼鏡には叶いそうかしら?」
と聞いてきます。
オレリア様とリゼット様が代わる代わるミレーヌ様の事を話しています。
ミレーヌ様は2人には幼なじみですし、私とジュリアス殿下の関係みたいに彼女達も妹のように思うところがあるのでしょうね。
「頭の良さそうな印象を受けるわ。
それに芯が強そうだし。
王妃なんて、気弱な性格では倒れてしまいますもの。
ある程度は慣れだけれど、あまり精神的に弱い方はかわいそうだし。
人嫌いと言っても、ミレーヌ嬢くらい達観している方がいいかもしれないわね」
となんとなく気に入っている様な言葉をもらいました。
「アンジェはどう思ってるの?」
と聞かれました。
「そうですね。聞いた限りでは、興味をひかれました。
まだミレーヌ様に会っていないので、そこまで私の意見を言う事が出来ませんが…」
と申し訳なさそうに言いました。
「ああ、そうね。
学校には来ていないのでしたね」
と納得するように言われました。
「王妃様、ミレーヌに対してジュリアス様はご自分が学校へ来れなくなった原因を作ってしまったと言う罪悪感や、何とかミレーヌの力になりたいと言う使命感で動いている状態だと思われます。
まだ彼女をお妃候補として考えるのは時期尚早かと」
と先走ってしまった王妃様に意見するオレリア様は流石ですね。
「確かにそうね。
あの子も口ではあなた達の選んだお妃候補を認めると言っているけれど、自分が好意を持たない限り首を縦には振る事はないでしょうね」
ジュリアス殿下の性格をよく知っている王妃様らしい言葉ですね。
私もそれは思っていました。
小さい頃から、男の子にしては大人しくて、周りに気を遣える優しさもある人だけれど、譲れない自分の考えには頑固な所を見せてましたよね。
ここから、2人がお互いを意識してくれれば話しは進展するのだけれど。




