学校ならではの大事なこと
サロンに移動した私達はまず専属料理人に昼食の用意をお願いしました。
予定では今日は食堂に行くと連絡をしてしまっていたので料理人達には申し訳なかったけど。
私達のわがままなので、料理人達にはゆっくりの準備で構わないと伝え、料理が出来るまでソファーでゆっくりする事にしました。
「そう言えば、先程食堂の入り口にバルバラ様が現れた時、コレット様も近くにいた筈ですが、私達の近くに来たのはバルバラ様だけでしたわね」とアンヌリーブ様が思い出したように言います。
「私も横目に確認しながらコレット様はどこへ? と気になっていたの」
と同意します。
「僕らが駆け付けた時、柱の陰から様子を伺っていたよ。
何かするようにも見えなかったからほっておいたけど」
とケビン様が言いました。
ケビン様はよく周りを見てらっしゃるな。
「彼女もこれ以上は騒ぎを起こしたくなかったのですね。
やっぱり1番物分かりが悪いのはバルバラ様ですね」
と私はため息をついた。
皆も確かにと頷いている。
昼食の準備も整い、皆でゆっくりと頂きます。
先程の騒ぎも忘れ気分もやっと落ち着きました。
食後のお茶を頂きながら、ノエラ様の新たな情報を話しました。
「だから、他のご令嬢に対して牽制するのは、彼女の役割だったのですね。いつも見ているとバルバラ嬢とコレット嬢は殿下に話しかけてくるのに、彼女だけ周りを気にしているんですよ」
とケビン様が府に落ちたと言うように頷いています。
やっぱりよく観察してらっしゃる。
ケビン様の洞察力や観察力はこれからジュリアス様の強い味方になりますね。
「同じ侯爵令嬢なのに、3人一緒にいても対等の関係でないなんて…。
寂しい方達ね。
学校を卒業したら、嫌でも格差は出てくるし、各々の立場が絶対になってしまうのに」
とオレリア様は言います。
確かに、学校ではある程度の貴族ルールは緩くなります。
お互いが納得していれば、公爵家の息子と伯爵家の息子が対等に会話が出来るし、名前を呼び捨てに呼び合う事だって出来る。
そこには自分の認めた友達というお墨付きが生まれるのだ。
しかし、卒業すればもう公の場で公爵令息を呼び捨てにはできません。
そこには純然たる格差が生まれるのです。
だからこそ学校生活の中で何のしがらみもなくお互いを認めた友を作る事は今しかないチャンスとも言えます。
それは高位になればなるほど…
だから、ここにいる者は特にその大事さを知っているのです。
あの人たちには理解出来ないのかしらね。




