変化の理由
「何かあったのですか?」
ジュリアス様の怒りは何から来ているのでしょう。
「いえ… 兎に角、あの2人には姉上達4人の意向に従うつもりだから、私に媚を売っても無駄だと伝えました。
それでもまだとやかく言ってくるなら、私からの苦情を城から侯爵家宛に送る事にしますよ」
と言われました。
城から侯爵家宛に送ると言うことは公にその家の非を問う事になります。
今までジュリアス様はそのような大事にするのは避けて来られたのですが…、どうしたと言うのでしょう。
確かにここまで言っても全く態度を変えないとなると、その方が周りに見せしめになっていい様に思います。
でも、いつものジュリアス様らしくない… 本当に彼に何があったのかしら?
ふとオレリア様を見ると何とも微妙な顔をされています。
でも、困っていると言うよりは笑いを堪えている様にも見えます。
私がじっと見てしまったからオレリア様と目が会いました。
オレリア様は何か話したそうです。
声を出さずに私にだけ分かるように、あ・と・で・と口の形だけで言ってきました。
私は黙って頷きます。
「では、数日様子を見ましょうか?
今朝、ジュリアス様が宣言をしてくれたのなら、バルバラ様達も今日はいろいろ情報を集めているだろうしね」
と私が提案して皆さんが了承してくださいました。
昼食を終えて用事があると断り私達は早めにサロンを後にしました。
そして、女性4人でこっそり庭園のガゼボに移動しました。
ここなら、周りを見渡せるので誰かが近付けば分かります。
「ジュリアス殿下のいきなりの変化にオレリア様は心当たりがありそうですが…」
「ええ。
たぶんだけれど、ミレーヌの事が原因だと思いますわ。
昨日ジュリアス様はまずミレーヌに謝っておいででした」
ジュリアス様はミレーヌ様に自分が声をかけたせいでバルバラ様達に目を付けられる事になってしまった。
それが原因で学校に来れなくなったのなら、全て自分が悪いと言ったそうです。
しかしミレーヌ様は殿下には関係のないことで、自分が勝手に行かないだけなので、どうか気にしないでくれと言ったそうです。
ジュリアス様は自分がバルバラ様に攻撃させないから、学校へ来てほしいとも言ったようですが。
「その時私達も初めて知ったのですが… 。
どうもミレーヌの教科書をバルバラ様達が全て取り上げてしまったらしいのです。
だから、ミレーヌは行きたくても私は行けませんと言うのです。
でもその顔は別段困っているようでもなく、ただ淡々とその状況に甘んじているようでして」
とオレリア様は困った妹の事を話す様に言うのでした。




