もうすぐ謹慎明け
さすがに、その日のうちに王子を勝手に公爵家に連れていく訳にもいかないので、オレリア様に公爵様か夫人に許可を取って貰うことにしました。
ミレーヌ様の事と同時に謹慎が明けて、学校へ出てくるバルバラ様達の事も考えないといけません。
「姉上、昨日の食堂と今日のカフェテリアでどのくらい噂は広まったでしょう?」
「そうですね。昨日の食堂だけでも相当だと思います。
今朝クラリッサが勢い込んで話してくれましたから」
クラリッサの情報網は相変わらず凄いです。
私も最近知ったのですが、侯爵令嬢としての社交性は私など足元にも及ばない程優れたクラリッサは令嬢達とつくる独自の情報網を持っています。
バルバラ様達の事を調べてくれたのもクラリッサです。
「では、明日にはまた凄い勢いで広まっていますかね?」
とジェームス様が言います。
「多分そうなりますね。
これで、学校では私達4人がお妃候補選出の権限を持っていると皆が思うでしょう。
バルバラ様達が謹慎明けに学校へ出てきて、この噂を聞いてどう出るかですね」
「全ては明後日と言う事ですわね」
オレリア様が言います。
「では、今日は早めに失礼して、ダンテール公爵家へ使いに行って参りますわ
上手くいけば、明日と言う事もありますし」
オレリア様とリゼット様は部屋を出ていかれました。
「ふー」アンヌリーブ様がため息をつく。
「アンヌ?」
私は彼女の様子を窺う。
「ごめんなさい、お行儀が悪くて。
何だかどっと緊張が解けてきて」
今日のカフェテリアでも、今の話し合いでもアンヌリーブ様があまりしゃべっていなかった事に思い至った。
自国でもない場所で自分の交友関係を広げる前に、こんな事に巻き込まれて、結構なプレッシャーと緊張が続いているのだろう。
「ごめんなさい、アンヌ。
あなたの事を気にしてあげれなくて」
「え? どうしたのアンジェ。
私は大丈夫よ」
「いいえ、 今はライアン様もいないのですもの。お城でも、学校でもまだ緊張する場面はあるのに、こんな事に巻き込まれてしまって疲れるのは当たり前だわ。
もう少し私が気を配るべきだったのに」
「姉上、それを言うなら私が兄上の代わりにアンヌリーブ姉上様を気遣う立場なのに、反対にいろいろ巻き込んでいるのです。
すいません、アンヌリーブ姉上様」
とジュリアス様が頭を下げます。
「ジュリアス様、そんな謝らないで下さい。王妃様が私を頼ってくれた事は家族として認めて貰えたようで、むしろとってもうれしかったのです」
そう言ってジュリアス殿下の手を取ります。
「アンヌリーブ姉上様… ありがとうございます」
なかなかいい姉弟になりそうですね。




