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始めましょうか

私達を見つけた、ジュリアス様が声を掛けてきました。


「姉上! 姉上様!待っていましたよ」


そして、バルバラの腕を振り払いこちらに歩いて来ます。


その顔はまるで大好きな飼い主に走り寄ってくる仔犬の様。

可愛いけど、一国の王子が人前でその顔は駄目ですよ。


「助かりました姉上達、今日からよろしくお願いします」


「これから、ずーと私達があなたについている訳にはいかないのだから、他の殿方も一緒にもっとしっかりしてくださいな」


私は近くにきた側近の方も含めて、しっかり釘を差します。


「面目ありません、女性も1人ならもう少しマシな対応が出来ると思うのてすが… ああ一度に大勢で来られると口では勝てず」

ジェームス様が意気消沈の様子です。


「ジェームス様、もしお会いする機会があれば、トーマス・セルビ様に助言を求められてはいかがです?」


「ああ、そうですね。

セルビ様はライアン殿下と3年間学生生活をされていましたから。

早速、聞きに行ってきます」

と言って少し元気になったようです。



「ジュリアス様はいつも王族専用のお部屋でお食事していますの?」

アンヌリーブ様が聞いています。


「ええ、最初は食堂やカフェテリアも行ってみたかったのですが、周りが騒がしくなって、皆さんにも迷惑になるので止めました」

と悲しい顔で言います。


ゆくゆくはそう言った希望も叶えてあげたいけれど、先ずはもう少し周りを静かにする事が先決ですもんね。


「そうですか、では今日はいつも通りでお願いします。

これからの事も相談したいので」と私。


「わかりました。では、行きましょうか」

私達は王族専用の休憩室へ向かいます。

昔ライアン殿下に呼び出されたお部屋ですね。



王族の方が学校へ通う場合に、昼食やお茶の時間に使ったり、一般の学生の目を気にせずに休憩も出来る専用の区域が用意されています。

この場所は王族の他は側近候補の生徒達など許可をもらっている者しか入れません。


もちろん王族の方から呼ばれれば別ですけどね。

アンヌリーブ様はもう王族と同等な待遇ですし、私の場合は今回王妃様に免罪符を頂き学校にも既に通達がいっております。


はっきり言って王子の婚約者もおりたし、目立ちたくはないのですがお世話になっている王妃様たってのお願いですから、断れませんもんね。


「ちょっとお待ちになって!」

皆で移動を始めると後ろから甲高い声で止められました。


振り返って見るとバルバラ様が凄い形相で立っています。


後の2人は何とも言えない顔ですね。

不味いと思っているのか、それとも自分も不満なのか?

思った程3人が同じ熱量で行動していないのかしら?


どちらにせよ、もう始まってしまうのね。

面倒臭いけど相手をしましょうか…。



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