3人の侯爵令嬢
「そこで、貴方たちに学校での令嬢達の見極めと、時にはジュリアスの助けをお願いしたいのよ。
ジュリアスの周りは同じ年の側近候補の男子しかいないから、皆まだ女性のあしらい方が上手くなくてね。
それも令嬢を助長させている要因の1つなのよ」
と王妃様がおっしゃいます。
確かに滅多やたらに、腕を取って止めさせられないし、令嬢の方が口が立つ者も多いだろうな。
「家柄や親が言っている性格等では令嬢の本心や本質が分からないでしょ?
過保護だと分かっているけど、出来るなら貴方達みたいに気立ての良い女性とジュリアスを一緒にしてあげたいのよ。
だから貴方達から見て、大人の見ていない所でもいい娘だと思える子を選んでもらいたいの。
そのまま決定する訳ではないのよ。
あくまでも1つの情報として見るだけだから」
と言いますが…
きっと反対にこの『令嬢はないだろう』と言うふるい落とす方を教えてほしいのだろうな。
遠回しにそう質問すると、ニッコリ笑って肯定されました。
ですよね~。
◇◇◇
と言う訳で、アンヌリーブ様と私は暫くの間ジュリアス殿下とお昼をご一緒する事にしました。
そして、やってくる令嬢たちをやっつけ… じゃなかった。
見定めていくつもりです。
一緒にランチが出来なくなった、エミリーやクラリッサ達には取りあえず1ヶ月の猶予を頂きました。
そして、3人にもいろいろ1年生の令嬢達に関して調べてほしいと頼みます。
お昼になりアンヌリーブ様と一緒にジュリアス殿下の所へ行きました。
1年生のクラスの前に着くと早速令嬢達が集まっています。
ここは男子クラスの前なのに…。
アンヌリーブ様に小声で話しかけます。
「さすがに中までは入って行ってはいないみたいですね… 」と思って覗くと… いました!
3人だけ、堂々と男子クラスの中までズカズカ入って殿下に話しかけている厚顔無恥な令嬢が…。
「いましたね…」
私達は顔を見合わせます。
噂の3人。
バルバラ様、コレット様、ノエラ様です。
ジュリアス殿下は能面のように表情が消えていますね。
あの顔を見たら普通は嫌われないように、引き下がりそうなものですが…。
ああ、3人で話に盛り上がってジュリアス殿下の事は見ていませんね。
周りの男子はおろおろしています。ジェームス様が一応抗議の声を上げていますが、全然聞いてませんね。
やれやれ、先生さえ匙を投げる訳ですね。
根性と自分勝手さだけは、ユーリア様級です。
それが×3倍はきついですね。
ライアン殿下は不機嫌な顔をされると結構威圧感がありましたが、ジュリアス様はお顔立ちがお優しい上に、声を荒げる事もなかったですもんね。
ユーリアの3倍の女性の圧には勝てる訳がなかった。
そんな事を考えながら様子を眺めていたら、ジュリアス殿下が私達に気づいたようで、ぱぁと笑顔を見せて叫びました。




