新学期は始まったけれど
新学期が始まり1ヶ月が経ちました。
その間に1年生は何やら騒がしいです。
ジュリアス殿下と同じクラスを目論んでいた高位貴族のご令嬢達から、抗議が上がり先生達を困らせて学校側から注意を受ける事になりました。
彼女たちは勉強よりも、ジュリアス殿下にどうやって顔を覚えてもらうかが重要なのでしょう。
けれど悪目立ちすれば、彼の中に残る印象は最悪なのに婚約さえすれば、全てクリアになるとでも思っているのかしら?
形が決まれば、お互いの気持ち等どうにでもなるとでも言われているのかもしれませんね。
そんな訳ないのに。
クラス分けの問題が一段落したと思ったら、今度は勝手にジュリアス殿下にアタックする順番を勝手に決めたり、自分たちの立ち位置の順位を決めたりとやりたい放題な子達が周りを巻き込んで毎日話題を提供しております。
「おはよう、アンジェ聞きました?
また、あのバルバラ・オードランがジュリアス殿下の後を追っかけて数人の令嬢と取っ組み合いになりそうになって殿下達に止められたそうですわよ」
今日もクラリッサが話を仕入れて来ました。
全く困った子達です。
この国の公爵家は5家。侯爵家は10家あります。
この侯爵家の中で、うちとクラリッサの所意外の8家のうち6家の令嬢が1年生にいるのです。
皆さんジュリアス殿下のお妃候補を狙って同い年の子供を作ったのでしょうね。
だから、特にこの侯爵令嬢たちが勝手にお妃候補と名乗り熱くなっているのです。
因みにダンテール公爵家のミレーヌ様もいる筈だけれど、噂は聞かないわね。
本当なら一番の有力候補だと思うのだけれど。
「アンジェ、ジュリアス様がまだ1ヶ月しか経っていないのに、学校に行くのが憂鬱だと言い出しましたの」
と隣で聞いていたアンヌリーブ様がどうしようと言うようにこちらを見ます。
「まあ、殿下がそんな事を…」
私もそんなにジュリアス様がうんざりしているとは思いませんでした。
「陛下たちも将来の為に王子の学業の邪魔はしないでもらいたいと各侯爵家、伯爵家に異例のお願いをしたらしいのだけれど、全く聞いてないみたいですわね」
アンヌリーブ様はため息をもらします。
親に言われて大人しくなった令嬢は極僅かだとか。
殆どは親子して、聞く耳を持っていないようです。
そして陛下の言葉を無視している先鋒がコレット・ジラール、バルハラ・オードラン、ノエラ・マルティーヌの侯爵令嬢3人です。
それ以外にも2、3人の伯爵令嬢も負けじと参戦しています。
毎日女同士が争っている所を見せられてうんざりしているジュリアス殿下を想像すると可哀想になってしまいました。




