表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/215

姉と弟の葛藤

エミリーと新しい教室へ向かっていると。

「姉上!」

何だか懐かしい呼ばれ方と声が聞こえました。

階段をかけ降りてくるジュリアス殿下です。


「おはようございますジュリアス殿下、お早いですね」


「姉上こそ、早いですね」


「ジュリアス殿下、流石にもう姉上と呼ばれるのはどうかと思いますが…

今度はアンヌリーブ様を姉上とお呼びくださいな」


「小さい頃からずっとそう呼んできたから、今さら変えるのは些か骨が折れます。

アンヌリーブ様は勿論姉上様とお呼びしていますが、私にとってはアンジェ姉様も姉上ですよ」


慕ってくれている事はとても嬉しいのだけれど、学校では何かと話題の種になりますし、今のジュリアス殿下の立場でそれをされると、ろくでもない事に巻き込まれそうで嫌な予感しかしないのだけれど…。



「ええ、ジュリアス様のお気持ちは嬉しいですけど、やはり学校ではお止めいただきたいです。

あらぬ噂の元になりますし… ジュリアス様ならこの意味わかりますよね?」


幼い時から心ない貴族の噂話に傷つけられたり、憤慨してきた筈だから、私がこう言えば気がついてくれるでしょう。

兄上と違って聡い方だし。


案の定、ジュリアス殿下はハッとして顔を引き締めた。


「申し訳ありません。 ついつい久しぶりに会ったアンジェリーナ様に甘えてしまいました。

お許し下さい」


「いいえ、これからよろしくお願いいたしますね」


「はい、是非またお話させてください」


そう言ってジュリアス殿下は離れていった。


ごめんなさいね、ジュリアス様。

大好きな弟と人目など気にせず仲良く出来ればいいのだけれど、彼のような立場の人がそれをすれば、隙を突かれて面倒な事になるかもしれない。

私のせいで何かあっては王妃様にも顔向け出来ないわ。


私が彼の後ろ姿を目で追いながらそんな事を考えていると

「アンジェ、ちょっと可愛そうだったわねジュリアス殿下」

エミリーも気の毒そうにジュリアス殿下の後ろ姿を見ていました。


「仕方ないわ。ジュリアス殿下は婚約者もまだ決まっていないのですもの。

下手に近くにいると、あらぬ噂の種にされるもの」


「そう言うの本当に面倒ね」


エミリーの言う通り。

面倒臭くて嫌になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ