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新学期

学校へ着いて、門の前で馬車を降りて歩いていくと、正面玄関横にクラス編成の掲示板が出ていた。


2年になってクラスは成績によって分かれることになっているから、もう見なくても分かっているけれど。

何となく眺めてしまう。


うん。大丈夫5人とも同じAクラスです。


そのために皆で学年末テストを頑張ったしね。



何気なく1年生の掲示もみていると、クラリッサの従兄弟のジェームス様とジュリアス殿下が同じAクラスになっています。


あれ? 今年はなぜかAクラスは男子ばかりだわ。


察するにジュリアス殿下の回りが騒がしくならないように、配慮されたのかもしれない。


そう、弟の様に仲の良いジュリアス殿下はまだ婚約者が絞り込めていなくてお妃候補決定前なのです。


ライアン殿下の急な婿入りが決まり、我が国の王位継承権第一位になってしまったジュリアス殿下に対して城の重鎮達は慌てただろうな。


今まではライアン殿下が立太子になる想定で婚約者の私が王妃教育を何年も前からやらされていた。


だから、ジュリアス殿下のお妃選びはのんびりしたものだったのだ。


それが、次期国王確定だった筈のライアン殿下が隣国へ婿に行く事になり、せっかく教育した婚約者は王家とは関係ない辺境伯家へ嫁ぐ事になった。


王妃様の鶴の一声とはいえ、この国の中枢を担ってきた重鎮の方達は寝耳に水だったでしょうね。


そして今、ジュリアス殿下のお妃選びは急がれているのだろうな。

だからこそ、このタイミングで学校へ通われるといろんなハニートラップがジュリアスを待っていると思って間違いない。

国からも学校に配慮を求めたと言うことか。


そして、この男子だらけのクラスはジュリアス殿下の次期側近選びも兼ねているのだろうな。


まあ、卒業後セルビ様はライアン殿下からは離れて宰相様の補佐に配属されたと聞いたから、最終的にはジュリアス殿下の一番の右腕になるだろうけどね。



「アンジェ、おはよう」

そんなあれこれを考えていると、後ろからエミリーが声を掛けてきた。


「おはよう 今日も花壇の様子を見に行っていたの?」


「ええ、春休みは学校の事務員さんに任せていたから、一応様子の確認よ」


「春休みはセルビ様と会う機会はあった?」

そう私が聞くと、エミリーは少し頬を赤らめながら言います。


「ええ、トーマス様は春休みに入った最初の1ヶ月はゆっくり出来ていたから、その時に何度かお互いの邸を行ったり来たりしたわ。

私達趣味とか価値観が似ている事が分かったの。

アンジェ、私何だか上手くやっていける自信がついたわ」


「そう、良かった。

でも、私は最初からあなた達2人はきっと合うと思っていたわよ」


「え? もう! アンジェったら、からかわないで」

真っ赤な顔をするエミリーが可愛かった。

「ふふふ」


このところ自分が皆にからかわれていたから、エミリーをからかってしまったわ。



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