どちらを選ぶ?
「うちは基本的には辺境領にいる事がメインになるから、そこまで部屋数や大きな宴会用の部屋はいらないから、部屋数を減らして1つ1つの部屋を大きめにしたんだ」
成る程、こちらを管理してもらう執事達もそんなに数は要らないものね。
公爵家の名残で使用人達の細かな部屋数が多かったらしい。
そして家族の部屋数、客間の数も結構あったらしい。
流石に小さい小さいと言っても公爵家の邸だ。
「メインになる主寝室は続き部屋の両側に衣装部屋と待機部屋を配して、二階、三階に1室ずつ作ったから、我々の部屋と両親の部屋になる」
わ、私達の部屋って初めて聞きました。
やだ、すごい照れる。
照れるし、嬉しい。
顔がにやけそうです。
「アンジェはどちらがいい?
二階は紺や青を基調としている。
三階は緑と赤を基調とした部屋だ」
ヴォルフ様が私に聞きます。
「わ、私が決めるのですか?」
狼狽える私に兄が横から言います。
「そりゃあ、アンジェの部屋になるんだからお前が選んでもおかしくないだろう?
でも、ヴォルフはどっちを選ぶか分かってて聞いてるよな?」
「え? どう言うことですか?」
私がどちらを選ぶか2人とも分かっているの?
「だって、アンジェはドレスアップする時も 新しい宝石を選ぶ時も必ずヴォルフの目の色を選ぶだろ?
ヴォルフの瞳の様な深い青色を」
とウォル兄様に言われます。
ヴォルフ様を見ればこちらも嬉しそうに微笑んでるし、私は自分の顔がボン!と音を立てて朱くなるのを感じました。
「ウォル兄様!からかわないで」
私はそう言いながら、朱くなった頬を両手で包みます。
それでなくても、先程から新居見学っぽいし、ヴォルフ様は私達の部屋なんて言うし、恥ずかしくていたたまれなかったのに。
最後に兄にトドメを刺された気分です。
「あははは ごめんごめん。
だけど、何だか嬉しくてさ。
親友と可愛い妹がもうすぐ結婚するかと思うとね」
「まだ2年以上先ですよ」
「2年なんてあっという間さ。
もう少ししたら、お前は僕の弟なんだなぁ~ ヴォルフ?」
そう言いながらウォルターはヴォルフの肩を叩く。
「お前に弟呼ばわりされるのは何だか複雑だな。
まあ、頼りにしているよ兄さん」
ふざけながらヴォルフ様は答える。
相変わらず仲がいい。
2人の会話を聞きながら、少し気を取り直した。
でも、ウォル兄様が言う通り私は青を基調にした部屋を選ぶだろう。




