ライアンとの対面
放課後、急いでレストルームに飛び込み濃いめのキッツいメイクをする。
髪の毛は縦ロールが無理だから、そのままだけどしょうがない。
こんどカツラ作ろっかな~
私はあまり見られないように、うつむきながら殿下のいる王族専用の休憩室へ向かった。
この学校には、王族が通ってるときに使える部屋があるのだ。
ちょっと前まで毎日ここへ通っていたのか…
アンジェリーナお疲れ様、頑張ったね。
ちょっと感傷に浸ってしまった。
気を取り直して、部屋の扉をノックする。すぐにセルビ様が開けて中へ通された。
ソファーにライアン殿下が座っていた。
私は淑女の礼をとり挨拶した。
「ごきげんよう、ライアン殿下
私に何かご用とお聞きしてまいりました。」
「ああ、急に呼び出してすまなかった」
「いえ」
私は極力言葉少なにうつ向きがちに、決して目を合わせないようにしていた。
殿下はなんとなく困惑しているようだ…
早く用件を行ってくれないだろうか。
「あの用件とは?」
私は少しだけ顔をあげて聞いた。
「お前が王妃教育を休んでまで、試験勉強をしていると聞いたから、トーマスのノートを貸してやる」
「セルビ様のですか?」
はて?自分のじゃなくて?
セルビ伯爵令息のノートを自分の物のように私に貸して、恩を売るのか?コイツは!
「ああ、トーマスは1年の時、成績は学年でトップクラスだったからな」
なんで、あんたが自慢気に言ってんのよ
私の横からセルビ伯爵令息がノートを差し出す。
私がチラッと顔をみると、勝手に自分の成績自慢をされて、複雑な顔をしている。
「そうなんですね… ちなみに殿下は?」
「あ? わ、わたしはトーマス程にはだな…
と、兎に角それを持っていけ」
ふーん、自慢出来るような成績ではないって事か
ライアンの成績がちょっと気になった。
「… ありがとうございます。セルビ様お借りします」
そう言って頭を下げた。
断るとまたうるさそうだから、いいや、早く帰りたいし。
「どうだ、たまにはお茶でも、飲んでいけ」
はあ? 何言ってんのこのバカ王子
「ライアン殿下、先ほどセルビ様にも言付けいたしましたが、これから友人と勉強会を行う予定です。
みんなを待たせておりますので、何とぞご容赦を」
私は深々とお辞儀をして、返事をまった。
「そうか、それでは仕方ないな…」
「申し訳ございません、またの機会にお願いいたします」
そう言って私は部屋を後にした。
急いでレストルームに飛び込み今度はメイクを落とした。
顔を洗いルージュを薄く引く。
どうせ3人に、会うだけだから、ノーメイクでいいよね。
さて、みんなのもとに急ごう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アンジェリーナが出て行ってから、ライアンはしきりと首を傾げていた。
うーん。この前見たのは幻だったか?
今日のアンジェリーナは前と変わらなかった。
無表情だし、何かきつい顔つきだったし。
全然笑いもしなかったな。
やっぱり、あんな可愛げのない婚約者はほっておこう。
この前は何かの間違いだったのだ。




