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初めての…

少し庭を戻って行くとヴォルフ様が向こうからやってきました。

「大丈夫だったかい?」


「はい、ニーナ様もマリウス様もお互いの気持ちを確かめる事が出来ました。

ニーナ様は未来の私の妹になりますよ」


「そうか、マリウスもアンジェのお陰で自分の研究に目処がついたからな。

婚約者や結婚を後回しにする理由がなくなったし、いいタイミングだったな」


「はい、丸く収まって良かったですわ」


「アンジェ、母上に聞いたよ。

一昨日食事も取らずに部屋に籠っていたって。

ニーナの事で悩んでしまったんだろ?

一緒にいてあげられなくて、すまなかった。

いくら勘違いだったとしても、私がいる時なら、すぐに誤解は解けたのに…」


「確かに、はじめニーナ様に言われた時はヴォルフ様を少し疑ってしまったし悩みました。

でも、マリウス様もヴォルフ様に限ってそんな裏切りはないって断言してくれたから信じる事もできたから大丈夫…

えっ!」

私が話していたら、急に抱き寄せられました。


「アンジェの悪い癖だよ。

私は我慢出来る。大丈夫。

今までずっとそうやってきただろ?

私と婚約した後までそんな思いはさせたくない」


そうヴォルフ様に言われました。


「もう絶対にアンジェに辛い思いはさせたくなかったのに… すまない」


「ヴォ、ヴォルフ様…」

いきなり抱き締められて、ドキドキしたけど、それよりもヴォルフ様が言ってくれる言葉がとても嬉しかった。

やっぱり私の事を分かってくれている。

そして、とても大切に思ってくれている。

それが伝わって来て涙がでそう。


「ヴォルフ様の所為ではありません。それにその言葉だけで十分です。

お休みが終わったらまた当分離れて暮らす事になるけど、ヴォルフ様を信じて頑張れます」


「アンジェ… 私の方が君と離れられなくなりそうだ…」


「え?」


ヴォルフ様の顔が近づいてきて…

え? キス!?


アンジェリーナとして初めて自分以外の人の唇を受け止めた瞬間でした。



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