真相にたどり着きました
ニーナ様に始めて会った時からのやり取りを思い出してみたけど、1回もヴォルフ様の名前が出てきていないことに気付いてしまったのです。
確か最初にエリノア様に紹介された時は、私がお嫁に来るから、仲良くしてね。
と言っていた。
誰と結婚するとも言ってない。
そしてその時のニーナ様の言葉が… たしか。
私は、ヴォルフ様に確認します。
「あのヴォルフ様がスターレン家を継いで次期当主になりますよね?」
「ああ、兄上は、婿に行くからな」
「もしかして、周りの方や近隣の方には残ったお二人の内どちらが継がれるか、まだお披露目はされていないとか?」
「ん? 確かについ最近まで本決まりではなかったよね?」
と、マリウス様もやっと気を取り直して言います。
「私はあのまま騎士団に残る事も視野に入れていたからな。領地の為の研究をしてくれるマリウスに任せてもいいんじゃないかと思っていたし…」
「だけど、僕は剣を振るうのは好きではないからさ、私設騎士団を仕切っていくのは難しいし、経営学はからっきしだからね」
と肩を竦める。
「どちらにしろ、先に嫁さんを連れてこないと継がせないと父上に言われていたもんな。
そこへ私がアンジェと結婚したいと言い出したから、うちの事情も動き出したんだよ。
アンジェと出会ってなかったら、スターレン家は未だに次期当主も決まっていなかったかもな」
なる程、だとすれば勘違いする人が出てきても不思議ではないのだわ。
「それを聞いてやっと分かりました。
たぶん、ニーナ様は私とマリウス様が婚約すると思っているのでしょう。
最初に会った時に次期当主様に嫁がれるのか?と聞かれました。
こちらもヴォルフ様ともマリウス様とも名前を出していなかったのです」
私はエリノア様とニーナ様のやり取りを説明します。
「要するに、ニーナはマリウスが次期当主になると思っていて、その時結婚相手がアンジェだと思ってしまったと言う事か?」
「はい。ニーナ様も私の所に来られた時に、私のお慕いする方と言われたので、ここでもマリウス様ともヴォルフ様とも確信が持てない。
けれど私からしたら婚約者はヴォルフ様ですから、ヴォルフ様とニーナ様に何かあったのかと思ってしまったのです」
「じゃあニーナは僕の事を?」
「ええ。マリウス様を慕うあまりの行動だったと思われます」
やっと私も冷静に話が出来るようになりました。
謎が解ければ、なぁ~んだって感じですけど、一時はまた婚約解消なのかと焦りましたよ。
話を聞いて考えていたヴォルフ様が声をあげました。
「よし! マリウス明日もう一度皆でタルボット伯爵家に行くぞ。
但しニーナにではなく、伯爵へ挨拶に行こう」
そう宣言のように言って、おじ様に話をする為に部屋を出ていかれました。
さて、どうなるのかしら?




