悩んでなんていられない
昨夜から何も食べていないのに、食欲は全くなく。
朝食を機械的に何とか飲み下し早々に食堂を出た。
明日にはヴォルフ様達が帰ってくるだろうけど、それまでずっと悶々としている事になりそうで、溜め息が漏れる。
「おはようアンジェリーナ嬢、どうしたの? 溜め息なんかついて」
「おはようございます、マリウス様。
何でもありませんわ」
「… そう?」
いきなり顔を覗き込まれてしまいました。
「昨日は夕飯も食べずに、部屋に引き込もっていたし、今は溜め息の上に浮かない顔。
何でもないようには見えないよ?
ボクの研究の手伝いをしてくれたし、もう家族になるんだから相談くらい乗らせてよ」
不味いです。
昨日から情緒不安定な上にこんなに優しい事を言われたら、涙が…。
「やっぱり、何かあったんだろ?
母上達にも何も言ってないみたいだし、ヴォル兄はいないし、僕でよければ頼ってよ」
「マリウス様… じ、実は…」
もう1人で抱えていられなくなり、たぶんマリウス様もニーナ様と親しいだろうから、この際聞いてみようと決心しました。
「ヴォルフ兄とニーナが?
そんなのあり得ないと思うよ」
「でも、ニーナ様は昨日私に婚約を解消してくれ、お慕いするあの人を返してって」
「どう考えても、それが信じられないんだよ。
ニーナはヴォルフ兄が騎士団に入団してから会う機会なんてなかったはずだし…」
確かに、年末だって領地には帰ってなかったものね。
ヴォルフ様はずっと我が家にいたもの。
「あっ! で、でも婚約披露パーティーの後からこちらに帰っていたから」
「それこそやっと婚約者が出来たのに、あの堅物兄貴がそんな時に他の女性に目移りするなんてあり得ないよ」
とマリウス様が言ってくれる。
私もそうは思うけど、信じてるけど… でも。
「アンジェリーナ嬢、ニーナのところに確認しに行こう。
絶対にあいつの勘違いだよ」
マリウス様は早速、執事に言ってタルボット伯爵家に先触れを向かわせます。
数時間後、隣の領地まで馬車に乗って、2人でタルボット伯爵家へ行くことになりました。
いくら家族になるとは言え、さすがに、マリウス様と2人っきりで馬車に揺られる訳にいかずエマも同伴したので、すっかりバレてしまいました。
「どうりで、お嬢様の態度がおかしいと思いました。
昨日の令嬢はそんなことを言いに来ていたのですか!」
と憤慨しています。
「ごめんなさい」
取りあえず、謝っておこう。
「お嬢様が謝る事ではありませんが、一言言って欲しかったです。
私は嬉しい時も、悲しい時もお嬢様と一緒ですよ。一緒に悩みますから」
とエマが言ってくれました。
「うん ごめん」
本当に、皆に心配をかけてしまった。
マリウス様も力を貸してくれるし、いつまでも、ぐずぐず悩んでいられない。
私はヴォルフ様を信じて、自分の未来を切り開いていかなければ!




