木陰でのランチ会
走る訳にはいかないけど、出来る限り急いでガゼボへ向かいました。
やれやれ、とんだ邪魔が入ったものです。
「お待たせして、ごめんなさい」
準備をしていてくれた3人が一斉に私を見ました。
「アンジェリーナさま大丈夫でしたか?何か殿下に怒られたりとか…」
そうクラリッサが、聞いてきた。
「大丈夫ですよ。このところ殿下へ顔を見せに行ってなかったので、どうしたのかと思われているみたいです」
「なるほどそう言うことなんですね」
それぞれに頷いています。
本当は婚約者である殿下に辛くあたられている事、今まで毎日ランチのお誘いをしてことごとく断られていた事等、既に3人には話してあります。
この子たちは信用出来るし、逆に噂にしてもらっても、全然構わないんだけれどね。
その後お互いのお弁当を味見したり、お菓子を交換したり、女子ならではの楽しみを堪能しました。
ひとしきり、食べておしゃべりした頃合いに、エミリーが言いました。
「来週から初めての大きな試験ですわね」
そうなのです。9月にこの学校に入学して初めての試験が始まります。
これがいい口実になり、王妃教育は試験が終わるまでお休みです。
出来るならもうやりたくありませんけどね。
やるだけムダだし。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
━ライアン視点━
「アンジェリーナは何て言ってた?」
「あのですね…
《私やっと気付きましたの。
殿下はこれからのために、少しでも多くの人と交流を持つことが大事なんだと。そのために毎日多くの令嬢とランチをご一緒する必要があるのですね
私は殿下の婚約者ですもの、いつでもお話出来ますし、どうぞこれからは私の事は気にせず、残り少ない学校生活を有意義に送ってくださるようお伝え下さい。
もう、お忙しい殿下を煩わせるような事はいたしませんわ》
と、おっしゃって…
殿下いいんですか?」
ライアンは口もとを手で隠しながら、考えていた。
結構衝撃を受けていたのだ。
何を言っても、一切感情を抑えて今まで口答えしたこともなかった2つ年下の婚約者。
美人だがどこか冷たく感じるその顔も感情をあまり出さない態度も全てが気に入らなかった。
今年同じ学校に入学してきたが、全く興味も湧かず毎日お昼になるとわたしの所まで挨拶にくるが、一緒に昼食を取る気など微塵もなかった。
冷たく断っても、顔色1つ変えずに「では明日ライアン様が良ければご一緒下さい」そう言って帰っていく。
そんなアンジェリーナがさっき笑っていた!?
それだけでも驚いたのに、まさかもうランチの誘いにも来ないと言われるとは…
よく考えたら、私はアンジェリーナの笑った顔を初めてみたかもしれなかった…
しかも今日のアンジェリーナはいつもと少し違って見えた。
どこが違ったんだろう…
いつもはもっときつい印象があるのに…
アンジェリーナはあんなに可愛かっただろうか?




