ソバの実で料理します
ソバの実が手に入ると分かりヴォルフ様とホッとしていると、エマが私を探しに来た。
「お嬢様、お帰りになっていたらエリノア様と奥様がお茶に誘いたいと伝言が来ております」
「あら、お母様たちが? そう。
ヴォルフ様、カーラが戻るのにどれ程かかりますか?」
「ん? そうだなぁー 急いで行ってくれたから、今日中には帰って来るだろ」
そうなりますよね。
取りあえず今日はソバの事は忘れよう。
「では、エリノア様とお母様とお茶をしてきますね」
「わかった。 マリウスには私から話をしておくよ。
もしかしたらアイツも明日一緒に参加したがるかもしれないな」
「そうですね。 上手くいけば明日のお昼にでも皆さんに試食して頂けたらいいんですが」
「そうだな。 何だか楽しみだよ。
じゃあまた後で」
そう言って、ヴォルフ様はマリウス様の所へ、私はエリノア様の所へ行くために別れました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
次の日カーラが持ってきてくれたソバの実をヴォルフ様と料理長と確認します。
今日の私は何でも出来るように、昨日と同様に足首上の丈のワンピースにエプロン姿です。
大きな木箱に入っているソバの実は鬼殻が付いている。
「この固そうな物を食べるんですか?」
料理長が実をさわって首をひねる。
「小麦と一緒で殻を取って粉にしたいのだけど」
「ああ、これは殻が付いているのかぁ
それでしたら、昔使っていた石臼はどうです?」
「ええ、やってみてもらえますか」
料理長が石臼でソバを引いてくれました。
ボールに入ったそれは所々黒い殻の入った荒い粉のような物です。
料理長といろいろ試行錯誤して、ふるいに掛けて2度びきしてもらい
何とか見覚えのあるそば粉に近い物が出来ます。
これをどうしようかしら…
蕎麦を作るにはそれなりに技術がいるし…
そうだ、クレープ!
そば粉のガレットを作ってみよう。
私は料理長にお願いして、大きめのフライパンや卵、ハム、チーズなどを用意してもらいます。
果して…
よし!
何とか形にはなったけど…
3人で味見してみる。
うん。おいしい!
美味しく出来たと思う。
前世で食べた物に近いというか、何だろう、それより美味しく出来てる気がする!
2人はどうかしら?
そば粉以外の食材はこの世界でもメジャーな食べ物だし、違和感はないと思うんだけど…
ドキドキしながら、咀嚼している2人を見つめます。




