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ほら!あれよあれ!

そんなことを考えているうちに、曲が終わった。



皆の方に向かいお辞儀をすると、拍手をもらった。

そしてエリノア様が駆け寄ってくると、またしても抱きしめられた。


うれしいけど、こんなに美しい人にいきなり抱きしめられるとドキドキしてしまうわ。

「アンジェリーナ様、素晴らしかったわ もう本当に私の期待以上なんだから!」


「よ、喜んで頂けて何よりです」


「母上、アンジェがびっくりしてますよ」


「ああ、ごめんなさい つい…」

やっと放してもらえました。


ランドルフ様もやってきて

「アンジェリーナ嬢すばらしかったよ! 

正直これ程とは思わなかった。

ヴォルフ お前腕をあげたんじゃないか?」と聞いてきます。


「アンジェのダンスレッスンに付き合っているからね

年末の休みは、剣の鍛練より頑張ったんじゃないかなぁ」

と冗談を言ってます。


まあ、あながち嘘じゃありませんけど。


「じゃあアンジェリーナ様がいる間はここでもダンスレッスンは必須よね?」

とエリノア様に念を押されます。


これはエリノア様もご一緒に参加なされそうですね。



私としては、うれしいですけど…

ヴォルフ様は複雑なお顔をされています。

あの時は嬉しくて毎日3時間くらい付き合わせてしまったものね。


さすがにそんなには、やらないですよ。


なんにせよ、得意なダンスを認めてもらえるのはとても嬉しいし、一段とご家族と距離を縮められた様です。




◇◇◇◇◇◇◇◇



次の日、今度はちゃんと支度を済ませてから庭の散歩をします。


今日は訓練場の方へは行かずちゃんとお庭を巡ります。


庭の中央辺りにガゼボがあり、そこでマリウス様が本を読んでいました。


「マリウス様、おはようございます。

何を読んでいらっしゃるの?」


「やあ、アンジェリーナ嬢 おはよう。

植物の生育に関する本ですよ。

私の研究です」


「マリウス様はこの領内の作物について考えていらっしゃると聞きましたわ」


「まあね。 ここはルフェーヴルの中でも1番北東に当たるんだ。

西側は山に囲まれちゃってるし気候的にはいいけど、小麦を育てられる場所が少ないのさ」


なるほど、この世界…と言うよりこの国は小麦が主食とされているものね。


「高く険しい山が背後にあるから、鉱山などで賄い他領から小麦を買っているのさ、住んでいる領民の食料くらいは領内で補えるようにしたいんだよ」


辺境領は広いけど、1/3が山岳地帯

1/3が荒れ地なのだそう。

それだと、住んでる領民が作る作物だけでは大変なのかもしれない。


あれ?

荒れ地でも育つものってなんだっけ?

前世でなんかあったような… 私知ってる… たぶん知ってる…。

荒れ地や開墾地とかでも育つからって誰が言っていたんだっけ?


このところ元のアンジェリーナとの融合が進んで別人格の部分が少なくなってきてる。

その所為か前世の細かな記憶は頑張らないと思い出せなくなっていた。


こちらでも使える共通な情報は比較的記憶として定着したんだけどね。


んー 思い出せない… ここまで出かかっているのに。


ここに来て、おばさんのあるある、ほらほら、あれよあれ!的な分かっているのに出てこないみたいな状態になってしまった。


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