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お題スレ投稿作品

クラスで僕にだけ塩対応のロリ巨乳美少女の弱みを握って好き放題したら、彼女が僕のことを「ずっと好きでしたにゃん」とか言い出した話

作者: この名無しがすごい!

2021-06-20

安価・お題で短編小説を書こう!9

https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1601823106/


登場人物

 土方冬海(ヒジカタフユミ)、主人公

 金定睦月(カネサダムツキ)、ヒロイン

>>806

締め切りに間に合いませんでしたので、供養枠での投稿です


使用お題→『白ツツジ』『ナメクジ』『スーパーロボット』『ロリ巨乳ケモミミツンデレメイド』


【クラスで僕にだけ塩対応のロリ巨乳美少女の弱みを握って好き放題したら、彼女が僕のことを「ずっと好きでしたにゃん」とか言い出した話】


 彼女は胸が大きい。

 今は帰りのホームルーム。彼女から教卓へと視線を戻す。


「————それともう一つ、野球の応援と同じ日だが、清掃ボランティアがある」


 担任の教師が、学校行事の説明を続けている。


「場所は中央公園。知ってる者もいると思うが、君たちの先輩が植えた白ツツジの、周辺の清掃を行う」


 面倒なことをしたものだ、と思う。当時の高校生たちは、その植物の世話をさせられることになる、未来の後輩のことを考えなかったのだろうか。


「時間が重なるので、清掃に参加する者は、野球の応援には参加しなくても、と言うか、参加はできない」


 あるいは分かっていて植えたか、彼らも別に植えたいと思って植えたのではなかったのかも知れない。


「場所は近いからな、ひょっとしたら、走れば間に合うかも知れないが」


 僕はまた彼女の座っている方を見遣みやる。教室の窓側、一番前の席。

 彼女は背が低い。

 大人に交じった子供のように。


「雨天決行。人数は各クラス二人くらいまで」


 僕は思った。これは賭けだ。

 当日の天気が晴れなら、野球の応援には行かなくていい。公園でゆっくりとごみ拾いだ。

 反対に、もし雨なら、野球の試合はお休み。一方、公園では……場合によってはびしょぬれだ。


「参加したい者はいるかー……おお、土方ひじかたに、金定かねさだか」


 恐らく一番最初に手を挙げられたと思う。続けて呼ばれたのが彼女の名前で、僕としては、少なからず驚いたのだけれど。

 彼女は前を向いたままだ。

 僕の席は教室の後ろの方にあり、そこから見えたのは、彼女——金定睦月(むつき)——の、その小さな右手をついと上げる姿と、そんな彼女に釣られてばらばらと挙手をする、男子生徒たちの分かりやす過ぎる行動だった。


「よーし、じゃあ二人には、公園の方に行ってもらう。プリントもあるから、今終わったら取りに来いよ」

「せんせー、俺たちは?」


 このクラスの中ではお調子者、とされている男子生徒が、半ば冗談めかして声を上げた。

 担任が応える。


「連絡事項のプリントは二枚しかないからな。早い者勝ちだ」

「そんなー、金定さんのあれが揺れるのを見たかったのにー」

「ちょっと。あのさ」


 そこで彼女が口を開いた。不満そうな調子で、けれども怒ってはいない。


「それ、気にしてるって言ったよね」

「ああ、いや、ごめんごめん。ただ俺たちはー、金定さんと一緒にー、野球の応援がしたかっただけさー」


 これを聞いた彼女は、大きな目元を優しく綻ばせ、小さな口からは一転、柔らかな言葉が紡ぎ出される。


「そう。それならごめんね。だけど、なんか掃除の方がいいなー、って思ったの」


 以前にも、こんなことがあった……気がする。

 その時の彼女の眼差まなざしは、僕にも、他の誰に対しても、冷ややかに突き刺さるものだった。


「だから、野球の応援は、また今度ね」


 今は違う。

 当時から比べると別人のようになった彼女の、恋する瞳が僕に向けられることはない。

 僕は彼女の視界の外から、それでも彼女のことを、ちらちらとうかがうばかりだ。


  *


 その日の部活を終えて、僕は特別教室棟の中を移動していた。

 建物の端にある階段の近くまで来たところで、僕は、誰かの話し声を聞いて、立ち止まった。


「——ごめんね。別に————」


 女の声。僕の思い込みでなければ、聞き覚えのある声。


「もし良かったら————」


 もう一人は男の声。こっちは分からない。


「————それは——」


 まただ。部活帰りの時間。無人の校舎。僕は過去に引き戻される。

 記憶の中の彼女が、夕暮れの廊下に立ちはだかる。

 きらきらと輝く瞳が、黒々とした闇に覆われて、僕は、自分が大きな過ちを犯したことを知ったのだ。


「——好きな人が、いるの」


 彼女の言葉が僕の耳を通り抜けて、頭の中で反響した。記憶の中の僕も、現実の廊下に立つ僕も、何をどうすればいいのか分からなくなって、少しも身動きが取れない。

 小さな足音が聞こえた。


「あっ、金定さ……」


 とうとう現実の彼女が僕の前に立ち現れた。

 彼女は一瞬、ひるんだ様子を見せてから、僕のことをきっとにらんで、そのまま行ってしまった。


  *


 大したことではなかったはずだ。


「あー、なんであんなことを言ってしまったんだー。あー……」


 ごろごろと、自分の部屋で転がる。それから起き上がって、パソコンに向かう。


「久し振りにあれを見よう……。あー、金定さん……」


 彼女と僕は中学校の同級生だった。ただ同じクラスにいるだけで、別に親しくはなかったのだけれど、あることが切っ掛けで、僕たちは友達になった。


「ロードデンドロンの……第二期」


 それはテレビアニメだった。美少女とロボットの出てくる深夜アニメ。

 僕は自他共に認めるアニメオタクで、当時放送されていた第一期も、当然チェックしていた。

 作品の内容自体は、色々と詰め込み過ぎて逆に平凡である、というのが僕の評価だ。

 ヒロイン、それも複数が、ケモミミ美少女に変身して、ギミック満載のスーパーロボットを操縦するのだ。戦争もラブコメもあるよ! ……って、馬鹿じゃないのかと。それもワンクールしかないのに、本当に、馬鹿じゃないのかと。

 それはともかく。


「やっぱり似てる……」


 メインヒロインのソフィア・クロッシングヒル。主人公の幼なじみであると同時に、彼に仕えるメイド。

 似ているのだ。

 彼女、金定睦月に。


「あー、金定さん金定さん……」


 顔立ちも背格好も、表情から身のこなしまで、何もかもがそっくりに見える。

 もちろん、生きた人間とアニメキャラという違いはあるし、似てると思うからそう見えるのだ、ということもある。そもそも金定さんが美少女である、という点も忘れてはならない。

 しかしそれにしても似てる。

 違うのは髪型で、ソフィアのツインテールに対して、彼女は頭の後ろで緩くまとめている。


「あー……やっぱりアニメを見るのはやめて、勉強しよう……」


 それはともかく、大したことではないのだ。

 なぜかロードデンドロンを見た金定さんが、作品を気に入って、僕のところに感想を言いに来た。

 彼女は僕のオタクトークに付き合ってくれて、僕たちはなんとなく仲良くなった。

 だけど、ある日。


『二期? うーん——』


 大したことではなかったはずだ。


『——僕はいいかな』


 あの時の彼女の顔。僕は忘れられない。


  *


 清掃ボランティアの当日。


「雨か……」


 降ったりやんだり。微妙な天気だ。野球は中止にはならなかったらしい。

 中央公園は、僕のかよった中学校からも、そう遠くない距離にある。

 公園に現地集合、ということだったので、体操服を着て、傘を差して、徒歩で向かう。

 雨にぬれたアスファルトが、てらてらと光っている。そこに映り込む曇り空の、無数に散らばった断片を、とぼとぼと歩いて追い掛ける。

 ふと顔を上げると、道の先に、彼女の小さな背中が見え隠れした。


「金定さん! お、おはよう」


 無視されるかとも思ったけれど、彼女はゆっくりと振り向いた。険しい表情は崩さぬまま、それでも、僕のことを視界に入れてくれた。


「土方くん……。おはよう」


 それから僕たちは並んで歩いた。相変わらず、雨は降ったり上がったり。傘は差したり畳んだり。

 会話はない。

 大きな道路の、待ち時間の長い信号で立ち止まった時、彼女がスマホを取り出した。大きな胸の向こうに、SNSアプリの画面が、ちらりと見えた。


「そ、そのスマホさ」


 彼女の透きとおった瞳が僕を捉える。


「僕のと同じ。ほら」


 そう言って自分のスマホを取り出す。ちなみにだが、この小さくて平べったい情報端末の中に、彼女の連絡先などは入っていない。

 彼女は僕のスマホを凝視してから、ぽつりと。


「……そうなんだ」


 言って、自分のスマホの画面に視線を戻した。

 信号が変わった。僕たちは再び歩き出した。


「あ、あのさ。レポート書くよね」


 彼女がこちらを見た。

 『清掃ボランティア』の内実は、公園の仕事について取材をしてきなさい、というものだった。清掃はおまけ、ということだ。

 取材をして報告書を提出すると、そのことが内申書に記載される。それがどのくらい役に立つのかは分からないが、いずれにせよ、プリントにはそう書かれていた。

 まあとりあえず、真面目にやってくださいね、ということだ。


「それでさ、写真、撮るよね」

「……うん」


 パソコンなりタブレットなりを使って、写真入りの、見栄えのいいレポートを作りましょう、と。それが活動の趣旨だ。


「思ったんだけど——」

「写真、欲しいの?」

「えっと、うん」

「そう、分かった」


 彼女は、もうこれ以上話すことはない、という風に、僕から前方へと視線を戻した。


「あの、写真の共有の仕方は……」

「知ってる。教えてもらった」

「そ、そう」


 僕が言いたかったのは、つまり、同じクラスのよしみで、それぞれが撮った写真を融通し合いましょう、ということだ。

 スマホの種類が同じなら、特別なアプリなしで、写真を送り合う機能が使える。

 彼女は知っていたようだけど。

 それから、また、僕たちは、無言で歩いた。

 公園の敷地に入る辺りで、また、ぽつぽつと降り出した。


「……同じ機種だもんね」


 気のせいかと思うくらい小さな声で、そう、彼女がつぶやいた。


  *


 『清掃はおまけ』なんて、誰が言ったんだろうか。


「あ、金定さん。写真とか撮れた……?」


 農業高校の実習かな? と思うくらい、色々とやらされた……。


「うん、一応ね、何枚か撮れたよ……」


 彼女もくたびれたのだろう。だけどその分、柔らかな表情で応じてくれた。

 花の見頃は終わっていたけれど、所々に残る白を背景にして立つ彼女は、それこそ花の妖精のように見えた……と言うか、アニメの中から抜け出してきたように見えた。

 写真に撮って残しておきたいと思った。

 僕はスマホを手に、彼女の斜め前に立った。


「それじゃ、写真だけど……」


 もちろん開くのはカメラアプリではない。

 写真を管理するアプリを開いて、今日撮ったものを全部選択する。そこから明らかな失敗写真は除いて、彼女のスマホに送信した。


「ん。ありがと。じゃあ私の分も送るね」


 これまでの態度はなんだったんだろう、と思うくらい、彼女は打ち解けた様子で僕の前に立っていた。

 まるで昔に戻ったみたいだ。

 幼く見える愛らしい顔に、体操服の上からでも分かる大きな胸がアンバランス。だけどそれ以外はほっそりとして、全体としては釣り合っている。


「あっ」


 ぼんやりと彼女を眺めていた僕は、その彼女が唐突に上げた声で、我に返った。


「ん? ……どうしたの、金定さん」


 彼女は少なからず動揺した様子だったけれども、それを見た僕の心は、逆に落ち着いた。

 これは僕の昔からの悪い癖で、自分が焦りやすい分、他の人がそうなっていると、その状況を客観視してしまうのだった。


「なっ、なんでも!」

「そう?」


 それからずっと彼女は落ち着かない様子だったけど、その時の僕は、金定さんと久し振りにちゃんと話せたことがうれしくて、彼女自身『なんでもない』と言ってるし、大したことではないだろうと。

 そう、思っていた。


  *


 翌朝。


「これ……どうしよう……」


 『なんでもない』わけがなかった。それは一枚の写真だった。

 金定さんの自撮り写真。そこまではいい。髪型がツインテール。ものすごいレアショットで、とてもかわいいと思うのだけれど、それもまあ、いい。

 姿見に映った金定さんの、問題は、身に着けている服だった。

 大きな胸が強調されるような、非常に、とてつもなく、うさんくさい、メイド服。頭には猫耳。

 例のアニメのヒロイン、ソフィアのコスプレ衣装だった。


「行ってきまーす……」


 とりあえず僕は、早めに家を出た。金定さんに会えたら、どうするか相談しようと思ったのだ。

 写真の中の金定さんは、間違いなくかわいかった。普通にしていてもかわいい彼女の、少なくとも三倍くらいはかわいい。

 コスプレが似合い過ぎているのだ。衣装自体は明らかに安っぽかったけれど、馬子にも衣装の逆バージョンとでも言うか、これはもうソフィア本人がソフィアのコスプレをしている、そういう風にしか見えなかったのだ。


  *


 そんな、ある種おかしなテンションで、僕が教室の前まで来た時だった。


「——金定さんって————」


 教室で自習している女子生徒だろうか、誰かの話し声が聞こえてきた。


「分かるー、なんかこびてるよね。そのくせ私たち女子には上から目線だしー」


 声が大きいぞ。立ち聞きする方もどうかとは思うけど。


「————、土方くん————」


 僕の名前まで出てきた。これは出ていきづらい……。


「——金定さん——、土方——こと、苦手————」

「確か同じ中学校だったよね! あの子さー、なんか弱みでも握られてるんじゃないのー?」


 いや、弱みって……うーん……。

 とりあえず出直そう。僕はそう思って、回れ右をした。


「あっ」

「あの、おはよう、土方くん……」


 丁度そこまで来ていた金定さんと、ばっちり目が合った。


  *


 彼女の要求。


「写真は消してくれと。うーん……」


 これを消すなんてとんでもない。


「変な写真を送っちゃったのは謝るけど……。ごめんなさい。だけどそれは消して」


 僕たちは、校舎の陰の目立たない場所で、写真の取り扱いについて話し合っていた。

 彼女としては当然、写真は消してもらいたい。だけど僕の方は。


「うーん……。まずさ、この衣装はどうしたの? いつどこで買ったんだろう」


 色々と聞きたいことがあった。


「それ言わないと駄目? ……えっと、なんかね、ネットを見てたらね——」


 僕の質問に対して、彼女は意外と素直に答えてくれた。


「——それで、なんか安かったから、これなら私でも買えるかなー、って」

「そうなんだ」

「うん」

「この写真はいつ撮ったの?」


 アニメの放送があったのは……いつだっけ? 結構前だ。


「それは昨日……じゃなくて、おとといだね」


 すごい最近だ。


「そうなんだ……」

「うん……。ねえ、土方くん。もう時間もないし、質問にも答えたし、早くそれ消してほしいんだけど」


 確かに、そろそろ教室に行かないと、朝のホームルームが始まってしまう。だけどなぁ……。


「……ねえ、金定さん。一つお願いがあるんだけど————」


  *


 彼女の家は、特に変わったところのない、一戸建てだった。


「おじゃましまーす……」

「どうぞ」


 彼女との話し合いから数日後、僕たちは中学校の近くで待ち合わせをした。

 初めて見る私服の彼女も素敵だったけど、僕たちは別に遊びに行くわけではなく、二人で彼女の家へと向かった。

 見知らぬ、玄関。女子の家に入るのは、多分、小学校低学年の時以来だと思う……。


「家族の人は?」

「留守だよ! あの、一応言っておくけどさ、その……変なことしないでね」

「もちろん」


 とは言え、僕の変な要求は、受け入れてくれたわけだけど。

 彼女に案内されて、僕たちは二階にある、彼女の部屋の前まで来た。


「じゃあここで待っててね」


 そう言い置いて、彼女だけが部屋の中に入る。

 フローリングの模様を眺めたり、白い壁紙を見詰めたり、廊下の窓から見える青空に意識を飛ばしたりしていると、部屋のドアが、がちゃりと音を立てた。


「どっ、どうぞ……」


 許可が出たので、少し緊張しながら、扉の中に入る。

 彼女の部屋の内装は、廊下と同じく、ごくごくシンプルなもので、置かれているのは、机に、ベッドに、何かのぬいぐるみ。ちょっとどきどきはするけれど、特に変わったところはない。


「あの……見せたよね……。もういいよね? じゃあ出てって」

「いやちょっと待ってよ」


 そんなシンプルな部屋の真ん中に……天使がいた。

 言うまでもなく、ソフィアのコスプレをした金定さんだ。


「なんで? 見せたでしょ。もういいじゃない!」


 僕のお願い。写真を消す代わりに、金定さんがコスプレした姿を見せてほしい。


「いや待ってよ。早いよ。折角来たのに」

「駄目! 見せた! 早く消せ!」


 正直に言おう。怒った顔もかわいい。僕は馬鹿なことを思い付いた。


「『にゃん』、だね」

「は?」

「『消してくださいにゃん』、だよ」


 ソフィアが猫耳メイドに変身している時の話し方だ。


「ふっ、ふざけ……くー……にゃん……」


 彼女はちょっと泣きそうな顔になった。


「あの、本当に嫌ならいいけど……」


 一応そう付け加えてみたけれど、彼女の耳には入らなかった様子で。


「ごっ、ご主人様……。写真、消してくださいにゃん……」


 涙目で要求する金定さん。僕の理性は粉々に打ち砕かれた。


「ちょっ、土方くん! 何!? どうしたの!」


 僕は寝転がってスマホを構えた。


「金定さんごめん! これで僕もローアングラーの仲間入りだ!」

「はぁっ!?」


 とは言ったものの、スマホの電源が入っていなかった。


「何言ってるの! 馬鹿じゃないの!? こっ、このっ……ナメクジ! あんたなんか、あの公園のツツジの近くにいたナメクジなんだから! ナメクジ! ナメクジ男!!」

「待って待って! たたかないで!」


 涙目の金定さんは、ぽかぽか、ぽかぽかと、僕にグーパンチの雨を降らせた。


「にゃっ、『にゃん』は!? 金定さん、『にゃん』は?」


 僕はやっとのことで彼女の腕をつかむと、大きな胸の向こうの、大きな瞳を正面から見据えて、そう呼び掛けた。

 それで金定さんは静かになったけど、僕は彼女から目をらすことができない。

 ずっと、そう、ずっと昔にも、こんなことがあった。

 彼女が僕を見詰めて。何かを言おうとして。僕は彼女の言葉を待った。

 やがて彼女が、ゆっくりと、口を開く。


「ずっと……ずっと、好きでしたにゃん。ご主人様、ううん、土方くん。ずっと好きでしたにゃん」


 僕の頭の中は真っ白になった————


  * * *


 私は小学生の頃から胸が大きかった。

 だから。


「おっぱい女」


 とか。


「デブ」


 とか。あと「チビ」とか。言われた。

 そんなことを言ってくるのは馬鹿な男子ばかりだったので、私は、上辺では彼らを見下して、気にしていない振りをしたけれど、それでもやっぱり、内心では傷付いていた。


 少し成長が早いだけ。

 胸の大きさも個性。

 気にすることない。

 大人になれば周りが追い付いて、きっと普通の大きさになる。


 私は。詰まらない人間だった。

 詰まらない他人から詰まらないことを言われて。詰まらない私には大き過ぎる胸と、詰まらない私の詰まらない劣等感が、私をどんどん詰まらなくして。

 詰まらない。

 私は。ランドセルを背負って。猫背で歩いた。


  *


 中学校に上がれば、さすがにみんな大人になって、詰まらないことは言われなくなるだろうと思っていた。だけど結局、私の周りの中学生は、私の思っていた以上に子供なのだった。

 ある日。


「なな、金定さ。お前、金払えばヤらせてくれるってマジ?」


 柄の悪い男子から、面と向かって、そう言われた。

 帰りのホームルームの後だった。

 中学生になっても私の胸は大きいままで。おまけに背も低いまま。

 つまり。私の机の前にそいつが立って。私は椅子に座っていて。


「はぁ? 何言ってんの? 意味分かんない」


 見上げていると、首が痛くなりそう。

 一瞬、とぼけてからかってやろうとか、泣いて困らせてやろうとか思ったけれど、そういうのは私のキャラじゃなかった。私はそこまで器用じゃない。

 教室の、自分の席とは反対側に目をやると、そこには、ちょっとおしゃれな女の子のグループが陣取っており。案の定と言うか、こっちを見ていた。


「やめなよー。金定さん、かわいそう」

「ほんと男子ってデリカシーないよねー」

「さいてー」


 口ではそう言いながら、彼女たちの顔は笑っていた。

 詰まらないやつら。


「うっせー。なあ、お前、いつも思うけど、顔と胸だけは立派だよな。それで金取れるだろ、つーか取ってんだろ」


 知らんがな。そう言ってやりたかった。もちろん私は無視した。


「あーあ。金定さんが無視しますー。チビ巨乳の癖にー。無視されたー。いじめだー。金定さんが俺をいじめるー」


 詰まらないことを言いながら、そいつは、私の横を歩いて、私の斜め後ろの男子に絡み始めた。


「金定さんが巨乳で俺をいじめるー。なあー、冬海ふゆみくん」


 その男子、土方冬海は、当時からオタクっぽかった。人畜無害……と、言うよりも、むしろ積極的に弱そうな。


「お前も金定の巨乳の被害者だよな」

「えっ、いや、それってどういう……」


 どこか治安の悪いゲームセンターにでも入ったら、まず真っ先にカツアゲされそうな。


「だってお前、いっつも金定の胸見てんじゃん。エロいー。さいてー」

「み、見てないよ」


 そんな詰まらないやつ、真面目に相手することなんてないのに。

 真面目なオタクの土方くんは、勉強とアニメが好きで、女子と不良が苦手。

 眼鏡は似合っているけれど、だからと言って格好良くは見えないのが不思議なところ。

 いつも一人か、大人しい男子同士でつるんでいる。


「あ? うそつくな。見てただろ。今だって見てたじゃん」

「いや、胸は見てないって……」

「じゃあ何を見てたんだ? 僕もヤらせて欲しいですー、って見てたんだろ」

「そんなこと、思ってないって」

「じゃあ何を思ってたんだ?」


 いい加減ウザいな。そう思ったのは私だけではなかったようで。


「ちょっと、いい加減にしなよ。金定さんも土方くんも嫌がってんじゃん」


 優等生タイプの女子が声を上げた。

 とうとう苛立いらだちを抑えられなくなった。顔にはそう書いてある。


「なんだよー。冬海のせいで俺が怒られた。答えろよー。金定の体見てエロいこと考えてたんだろ?」


 しつこい。たしなめられても、土方に何かしら認めさせるまで、引き下がるつもりはないのだろう。

 何人かの生徒は、もう教室を出ていった。私も暇じゃないんだけど。

 ほとんどの生徒は我関せずだ。私も土方を見捨てていいだろうか。


「いや、違くてさ」

「違わねーだろ。お前の部屋のゴミ箱、ティッシュまみれだろ。隠すなよー」

「あの、に、似てるなー、ってさ」

「は?」


 しどろもどろの土方くんは、余計なことを言って墓穴を掘るのがお好きらしい。


「こ、今期アニメのヒロインがさ、金定さんに似てて——」

「あー! ああ、そうか」


 詰まらないそいつが、意表を突かれて、声を裏返らせた。それから半笑いで続ける。


「そうだよな。お前ってそういうやつだったよな。あー、悪い悪い」


 今日はこれで解散だろう。女子グループが詰まらなそうに出ていった。

 優等生の子は、話が飲み込めていない。

 今期アニメ、ねぇ。


「そっかー、あれか。三次元には興味ないやつかー」


 そう決め付けられた土方は、まだ何か言いたそうだった。もう何も言わない方がいいと思うけど。

 詰まらないことになるからさ。

 解散、解散。私もその場を後にした。


  *


 後日。土方の友達に聞いてみた。


「『今期アニメ』って、どれのこと?」


 自分で調べてみたけれど、一杯あって分からん! だった。

 その友達が言うには、ロボットの出てくる深夜アニメで、タイトルが『ロード……』なんとか。

 家に帰ってから、もう一度パソコンで調べてみる。


「ロードなんとか、ロードなんとか……これかね」


 作品のページを開く。『白花少女こいのはなロードデンドロン』。


「何これキモ」


 大きな胸がやたらと目立つ女の子。それがページの中央に描かれている。彼女の頭には猫耳が生えている。

 その左右には、ぱっと見ではどれも似たようなアニメキャラが並んでおり。これがいかにもオタク向け、という印象を強めている。そして極め付きがロボット。

 キャラの後ろに三体、中央が白で、左右に並ぶのが青とピンク。

 私だけじゃなく、見た人は全員こう思うだろう。

 男の子って、こういうの好きだよね。


「それにしても……」


 似てる。

 確かに、似てる。

 自慢じゃないけど、かわいい方だとは思う。自分の顔。

 それで得してるとかは思わないけど、不細工よりはマシ。

 そんな自分がアニメキャラになったら、丁度こんな感じだろう。

 って言うかむしろ逆では? キャラが現実化したのが私!? とすら思わせるレベルで。

 似てる。

 違うのは髪型くらいだ。


「……ソフィア・クロッシングヒル。主人公の幼なじみで、ブロッサムファクターの適合者……」


 キャラクター紹介ベージを開けば、さっきの巨乳キャラと白いロボットが、まず真っ先に掲載されている。

 そのすぐ下には他の女性キャラ、一番下には主人公の少年……。


「……なんかこっちも似てる……」


 その少年。線の細い眼鏡キャラが、どことなく、まったく本当にどこがどうとは言えないながらも、あのオタクの同級生を思わせるところがある。


「なんか腹立つなー……」


 私そっくりのキャラクターが、画面の中で眼鏡くんに笑い掛ける。それを眺める土方。

 キモい。


「キモい!」


 想像するだにキモい。キモ過ぎる。


「第一話無料」


 私は、アニメの内容を確かめることにした。

 自分のあずかり知らないところで、まるで自分の分身みたいなキャラが勝手なことをしている。そういうのは我慢ならなかった。

 動画サイトでは、第一話と最新話が無料で視聴できる。

 とりあえず一話だけ確認すれば十分だろう。

 私は、それ以上深く考えることはせず、画面の中の再生ボタンを押した。


  *


「土方! ……くん」


 他に誰もいない廊下で、土方を呼び止める。

 彼はすぐに立ち止まって、一瞬、戸惑いからか小さく首を震わせた。それから、こちらへゆっくりと体を向ける。


「金定さん? どっ、どうしたの?」


 私が駆け寄ると、彼の視線が下がり————見るなよ。


「あのさ」

「……うん」


 遠慮がちに、ではあるけれど、それでも視線を合わせてくれたので、私は続ける。


「その……あのさ……」

「うん」


 夕日に照らされた回廊で、ソフィアはご主人様の手を握った。

 もちろん私はソフィアではないので、土方の手を握ったりはしない。


「えっと……あの……」

「うん」


 土方が短気じゃなくて助かった。彼は落ち着いていた。

 言葉を手放して見詰め合えば、私たち二人の時間が止まる。

 この時ばかりは土方がイケメンに見えた。それに、彼はしゃべるのが上手ではないけれど、その理由が分かった、少なくとも、そう感じられた。


「……ロードデンドロン、見たよ」


 それで私の口からは、すっと、それが出てきた。

 逆に彼の方は固まって、それから、いつもの、イケメンじゃない、オタクの土方くんに戻ってしまった。


「……えっ、金定さん、ロードデンドロン、見たの?」

「うん。見た」


 見たら悪いかね。


「そっか……。どうだった?」

「うん……。感想?」

「うん」


 いやー、一話だけのつもりがハマっちゃってさー。最新話まで見ちゃったよー。

 お小遣いがなくなっちゃうよー、あはははは……。


「……まあまあ、かな。悪くないよね」


 などと言ってしまう私。

 それに対して土方は、なぜだかうれしそうな様子で。


「うん、そうだよね。悪くない。悪くないけど、ちょっとね」


 とか言い出した。


「ちょっと?」

「そう。金定さんはさ、あんまりアニメとか見ないでしょ」

「う、うん。まあ、見ないね」


 最新話まで見ちゃったけどね。


「だから、あれは見やすいと思うんだ。あんまり深くないって言うか、色々詰め込まれてはいるけど、逆にそれがさ、詳しくない人でも取っ付きやすいって言うか」

「お、おう」


 なんか語り始めた。

 彼が言うには。


「主人公の影が薄いんだよね。癖がなさ過ぎて、ヒロインの邪魔をしないのはいいんだけど」


 素直でいい子だと思うけどなー。影が薄いのは、それは自己紹介だよね!


「ヒロインの数が多過ぎる。結局掘り下げられてないし」


 それは私も思った。ソフィアとご主人様のいちゃいちゃだけを見ていたい……。


「ヒロインが変身するけど、あの設定は、生かされているとは言い難い」

「どういうこと? 無駄ってこと?」

「うーん……そこまでは言わないけど。欲張り過ぎなんだよね。あれだけで毎回、結構時間を取られるし」


 なるほど、それはあるかもねー。


「リアルロボットとスーパーロボットのさ、いいとこ取りしようとしてるんだけど」

「う、うん?」

「ああ、リアルロボットっていうのはね——」


 こんな調子で、彼の話は続いた。

 夕日のオレンジ色が見えなくなって、街灯の明かりが下校時刻を知らせるまで、私たちは話し込んだ。

 解散!

 そそくさと家路に就く。

 帰り道。

 何やってるんだろ、私。

 詰まらない。

 なんて。

 忘れていた。


  *


 ロードデンドロンの放送が終わってからも、土方とはアニメの話で盛り上がった。

 彼とのおしゃべりは楽しかった。いつもは自信なさげな真面目くんが、この話題になると急に堂々として、雄弁に語り始めるのだ。

 もうその頃には、私は土方のことが好きになっていた。だから私は話を合わせるために、彼の勧める作品は、なるべく見るようにしていた。

 彼は説明の仕方が上手で、ただ一方的に語っているようでも、ちゃんと私の反応を気にしていた。

 私が少しでも詰まらない顔をすると、彼はすぐさま話題を変えようとして、だけど何も思い付かず、おどおどと目を泳がせるのがお決まりだった。


「あっ、そう言えば、今日の数学で——」

「うん、えっと、それはね——」


 最初はどうしようかと思ったけれど、そんな時は、こちらから土方の得意そうな話題を振ってあげるのが効果的だった。それだけで彼は再びイケメンモードになって、私はそれを眺めていれば良かった。

 頭が良くて、優しくて、かっこいい。

 理想の彼氏。

 他の人の前では、相変わらず格好良くはなかったので、誰かにられる心配もない。

 私は毎日ふわふわとした気持ちで、いつ告白しようかな、なんて、そんなことばかり考えていた。

 毎日。そんなことばかり考えていた。

 ある日。


「ロードデンドロン二期?」

「うん。金定さんは、あれ、好きだったよね」


 うん、大好き。言っちゃおうかな、今。好きだよ、って。


「土方くんも見るよね」

「二期? うーん——」


 私の中では大事なことでも。彼の中では。


「——僕はいいかな」


 目の前が真っ暗になった。


  *


 その日から土方とは話さなくなった。

 第二期は一応見たけれど、途中から見れなくなった。未練がましいような気がして、胸が苦しくなるのだ。

 土方は確かにアニメが好きだけど、それは特にロードデンドロンが好きとか、ヒロインのソフィアが好きとか、ましてや私のことが好きとか、そういうことではなかった。

 好きなのは私だけだった。

 忘れていた。

 私の。

 詰まらない日常が戻ってきた。

 私は土方に話し掛けないし。土方も私に何も言ってこない。

 詰まらない。

 それから。

 受験があって。中学校を卒業して。高校に入学して。

 私は。

 土方と再会した。


  *


 私と土方は同じ高校に進学した。高校生になった土方は、中学生の頃よりも、なんと言うか、女の子にモテるようになった……ように感じられた。


「ねね、土方くん。さっきの授業のさ——」

「あっ、私もそれ分からなかったの。教えてもらってもいい?」

「えっと、うん、いいよ」

「やったー! 土方くんってやっさしーぃ」


 なんか。

 詰まらない。

 私には関係のないことだけど。

 一方。


「あのー、金定さん。ちょっと後で、いいかな?」


 私の方は私の方で、なんだか面倒なことになっていた。


「金定さん、好きです! 付き合ってください!」

「えっと、ごめんなさい」


 なぜだかやたらと告白されるようになった。

 いや、理由は分かっている。


「そっか、駄目かー……。金定さんって誰にでも優しいから、俺にもチャンスあるかな、って思ったんだけど」

「なんかごめんね。別に、誰にでも優しくしてるつもりはないんだけど」


 私たちの入った高校には、土方みたいな頭のいいやつが一杯いて。彼らに合わせて会話していると、どうやらみんな勘違いしてしまうらしいのだ。


「もし良かったら、駄目な理由を聞いてもいいかな」

「うん。それは——」


 別に大した理由ではないし、それが今でも本当かどうか、もう私には分からないけれど。


「——好きな人が、いるの」


  *


 そしてある日。


「あっ」

「ん? ……どうしたの、金定さん」


 私は。


「なっ、なんでも!」

「そう?」


 やってしまった。

 私の目の前には土方がいて。高校生になった彼は、中学生の頃よりも、少しだけ大人びた雰囲気で。

 彼の体操服と、スマホを持つ手と、その手に握られたスマホと。私のと同じ機種だ。

 別に特別なことではない。誰でも持っているものだから。

 だけどそれはやっぱり特別なことで。送る写真を選んでいた、私は。ふと思ってしまったのだ。

 目に入ったのは、昨日撮った写真。思ったよりもかわいく撮れた、コスプレ写真。

 これを土方に見せたら、どんな反応をするんだろう。

 気付いた時にはもう遅かった。私の指は、昨日のそれを一枚、本来送るはずだった写真に、紛れ込ませてしまっていた。


  *


 そして今。私の部屋で。土方と二人きり。


「————ずっと……ずっと、好きでしたにゃん。ご主人様、ううん、土方くん。ずっと好きでしたにゃん」


 いつかみたいに、その言葉は、まるで最初から用意されていたかのように、私の口から、あふれて。

 そしたら彼は、また昔と同じように固まってしまい。

 私は、それがなんだかおかしくて。言葉と一緒に涙まで、ぽたぽた、ぽたぽた、フローリングの床へとこぼれ落ちているのに。声を上げて笑ってしまい。


「金定さん、ぼっ、僕も……僕も金定さんのことが好きです!」


 だから。

 彼の口が、私がずっと望んでいた、その形に動くのを見て。

 私は。

 私の胸は。

 幸せだなあ、という気持ちで。一杯になったのだ。

母「ただいまー」

む「えっ、おかーさん!?」

母「むつきー、いるのー? お客さん?」

む「いるよ! いるけど、なんで!?」

母「なんでって……ちょっと買い物したから、荷物を置きに来たんだけど……」

ふ「あっ、お邪魔してます」

む「ちょっと! なんで出てくるの!」

ふ「えっ、だって隠れてるわけにも」

母「あらー? こんにちは。何してたの?」

ふ「えっと、コスプレ撮影会を」

む「ちょっと!! なんでバラしちゃうの!?」

ふ「えっ、だってそれ……」

む「はっ!? し……しまった!!」

母「あー、その服、いつ着るんだろうって」

む「バレてたー!? 隠してたのに!」

母「えっ、あれで隠したつもりだったの?」

む「隠せてなかったー!?」


という会話があったとか、なかったとか。


あと筆者は未見ですが、昔、主人公が猫耳生やして戦う女児アニメがありましたよね……。


この作品は『5ちゃんねる』の『安価・お題で短編小説を書こう!』というスレッドへ投稿するために執筆されました。

もしご興味がありましたら、スレの方に(過疎ですが)遊びに来ていただけるとうれしいです。

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