おい、めちゃくちゃ騒がしいんだが
翌朝。
メアリーの朝食を存分に味わった僕とレイは、早速ギルドに向かうことにした。
メアリーは自宅待機だ。
別に雇っているわけじゃないので、彼女の行動を制限するつもりはない。
だが、
「アリオス様を温かくお迎え入れするのが私の務めですから」
と言って、メアリーは村から出るつもりもない様子。本当にありがたい話だ。
ちなみに、アジト制圧の件は早くも村全体に広まっているようだ。
《新米冒険者のアリオスさん》が快挙を成し遂げたことで、一気に知名度が広まったっぽい。
「あ……お兄ちゃん」
しかも、昨日助けた被害者たちの数人が、この村の住人だったらしい。
僕たちとすれ違うや、深々と頭を下げられた。
「私、大きくなったらお兄ちゃんと結婚するの!!」
「はは……そうか」
可愛らしい告白だった。
さて。
そんなこんなでギルドに到着した僕たちを、ギルドマスターのアルトロが待ってましたとばかりに歓迎してくれた。
「おお、アリオス! 来たか!」
「はい。……ちょっと早かったですか?」
「いやいや。待っておったぞい」
アルトロはにかっと笑うと、両手に小袋を差し出してきた。
……というか、周囲の冒険者たちから妙に注目されているんだが。
みんな僕の登場を待ってたみたいな。
「これが正式な報酬じゃ。遠慮なく収めるがいい」
「そ、そんなに……?」
受け取る前から、かなりの金額が入っているような雰囲気だぞ。
本当に貰っていいのかこれ。
多少の躊躇はあったものの、とりあえず受け取ってみる。
と。
「おおっ……!」
マジか。
ずしりと重いぞ。
「ア、アルトロさん。これって……」
「うむ。金貨五枚に、大銀貨八枚、銀貨三枚じゃ。遠慮なく受け――」
「取れないですよ!」
アルトロの言葉に被せる僕。
これはかなりの大金だ。
基本的には金貨1枚もあれば一ヶ月は問題なく過ごすことができる。
ちなみに貨幣の価値は下記の通りだ。
金貨が大銀貨10枚分。
大銀貨が銀貨10枚分。
銀貨が銅貨の10枚分。
つまり僕は、ひとつの依頼を解決しただけで五ヶ月以上の生活費を得たことになる。
「ふむ? どうした、少ないか?」
「いやいや。多いですよ!」
こんなのやばすぎるだろ。
受け取れない。
「まあ、お主はそう言うと思ったがな」
アルトロが苦笑まじりに言う。
「しかし考えてみい、アルセウス救済党のアジトを暴いたのみならず、多くの被害者を救ったのじゃ。それくらいは貰って然るべきではないかの?」
「そ……そうなんですかねぇ……」
「そういうことじゃ。素直にもらっておくがいい」
まあ……とりあえずもらっておくことにするか。
いまの僕はほとんど文無しだから、金があるに越したことはない。
「それとアリオス。もうひとつ伝達事項がある」
なんだ。まだあるのか。
「王都のギルド本部から通達じゃ。アリオス・マクバ。お主を正式に、Dランク冒険者として認めるとする」
「「おおおっ……!!」」
周囲からどよめきがわき起こった。
「アリオス! やったね!」
レイも嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。
なんだ?
そんなにすごいことなのか?
僕が目をぱちくりさせていると、アルトロは再び苦笑まじりに言った。
「冒険者登録から一日で昇格したのはさすがに前例がないぞい。それだけお主の実力が認められたということじゃ。……まあ、Dじゃ低すぎる気がするがの」
「いえいえ。さすがにそれは恐れ多いですよ」
冒険者のランクは戦闘力の高さだけで決まるもんじゃないみたいだからな。
僕はまだまだだろう。
……まあ、それを言ったら先日のユージェスはなんだったっていう話になるが。Bランクになって良い気になってしまったのかな。
「伝達事項は以上じゃ。アリオス、今後もよろしく頼――」
アルトロが言いかけた、その瞬間。
「アリオス! うちのパーティーに入らないか!」
「いやいや! うちに!!」
「アリオス様! 愚かな私めを覚えてますか! ぜひ私と……!!」
「いえいえ! 私たちのパーティーならハーレム築けるわよ!!」
「なっ……!」
いきなり冒険者たちが押し寄せてきて、僕は目を白黒させる。
ものすごい勢いだ。
「わわっ……」
さすがのレイもテンパっている。
なにがなんだかわからん。
「ええい貴様らっ! 落ち着け、落ち着かんかっ!」
アルトロの呼びかけもむなしく、冒険者たちの勢いはとどまることを知らない。
これはちょっとした事件だ。
こういうときは――そうだ、逃げよう。
「レイ。ちょっと」
「え? あっ……!」
僕はレイの手を取り、超高速でギルドを抜け出した。
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