おい、あいつらあんなに強かったのか
アルセウス救済党。
そのアジトにて。
僕は駆けつけてくれた冒険者とともに、アジト内部を探索していた。
そこで、思いがけないものを発見したんだ。
「あ……!」
「助けてください……! お願いします……!!」
牢屋に該当するであろう部屋で、何人もの人々が閉じこめられていたんだ。
それも数人どころじゃない。
実に三十人はくだらないだろう大人数が、アジト内部に幽閉されていたようだ。
「ありがとうございます……! ありがとうございます……!」
「ママ……私たち帰れるの……?」
「うん……! あなたは私たちの恩人です、本当にありがとうございます……!」
「お兄ちゃん、ありがとう……」
その際、何度も頭を下げられた。
僕のほうが恐縮するほどの勢いだった。
きっと、それほど痛い目に遭ってきたんだろうな。メアリーだって、すこし遅れれば取り返しのつかないことになっていたと思う。
……やばいのはこの部屋だけじゃない。
壁面のあちこちに、王国の繁栄を謳うスローガン的な垂れ幕が貼られているのだ。
また党首の写真が至るところに提示されている。党首のためならどうたらこうたら……党内ではこいつがかなり神格化されているようだな。
……残念ながら、当の本人はここにはいないようだが。
いくつか支部があるのかもしれないな。
ちなみに他の構成員も、僕が戦った三人以外はいなかった。ここは小さめのアジトに該当するのかもしれない。
「こりゃあ、すげえな……」
駆けつけてくれた冒険者のひとりが、ため息まじりに呟く。
「アルセウス救済党……。やばい連中とは思っていたが、ここまでとは」
「ええ……同感です」
こいつらの目的はいまもって不明。さっきの構成員たちは他の冒険者たちが王都へ送ってくれたから、後日、手厳しい取り調べが入ることだろう。
その他にも、いくつか見過ごせない資料が見つかった。
ここ近辺で何度か発生していた、失踪事件および死亡事件。
それがおそらく、アルセウス救済党の仕業である可能性が高い。
ユウヤはさっき、アジトの発見を「大手柄」と言ってくれたが、それに関してはその通りだと思う。
「それにしても……君はすごいな」
周囲を見渡しながら、先輩の冒険者が呟く。
「アルセウス救済党はなかなかに手強い相手でね。俺らも動向を追ってはいたんだが、所在はいまのいままで突き止められなかった。……それを、こうも簡単に暴いてみせるとは」
「はは……。いえ、僕なんてまだまだですよ。構成員だって、そこまで強くはなかったですし」
「ん? 強くなかった?」
「はい。僕ひとりでどうにかなりました」
「…………」
ふいに黙り込む冒険者。
いったいどうしたのだろうか。
「あ、あの。どうしたんですか」
「あのな。さっきも言ったが、連中は手強いぞ。腕に覚えのある冒険者でも、数人がかりで苦戦するレベルなんだが……」
「へ……」
え、マジか。
「それを……ひとりで倒したと?」
「は、はい……。まあ、運が良かっただけかと……」
「ちなみにアジトの入り口をピンポイントで見つけて、防御魔法ごと破壊したのはどうやってだ?」
「そ、それも運が良かっただけかと……」
「…………」
額に手をあて、数秒間うつむく冒険者。
「アリオス。俺たちのパーティに入らんか。全力で歓迎するぞ」
「いやいやいや。それは」
せっかく昨日ラスタール村に来たばかりだからな。それはまだ早い。
「一応聞くが、あんたはアリオス・マクバだよな? リオン様の息子の」
「はい。そうですけど……」
「そ、そうか。噂とは違って、相当に有望な男のようだ」
「いえ……ありがとうございます」
「まったく。そう謙遜するな」
冒険者は苦笑を浮かべると、僕の肩をトンと叩いた。
「どちらにせよ、今回は大活躍だったな。俺からも礼を言わせてもらおう」
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