おい、性格変わりすぎなんだが
「それで……先輩」
「はい! なんでしょうかアリオス様!」
ピンと《気をつけ》をするおっさん冒険者。
なんだこの変わりっぷりは。
攻撃の打ち所が悪かったのか、もしくは第二皇女レイミラが怖すぎたのか。
僕は後頭部をかきながら続きの言葉を発する。
「試験の結果を教えてくれませんか? 合格なのか、もしくは不合格なのか……」
「はい! それはもう合格です! いえ、私のような者がアリオス様に《合格》などと、おこがましいにもほどがあります!」
「…………そ、そうですか」
なにはともあれ、これで僕も冒険者だ。剣聖にはなれなかったけど、これはこれで悪くない。
いや、マクバ家としてのしがらみがない分、むしろ動きやすいくらいだ。
「アリオス! 私は信じてたよ!」
「ふふ。やりましたね!」
黄色い声ではしゃぐレイとカヤ。
二人とも自分のことのように喜んでいる。それを見るだけで僕も嬉しくなる。
「…………すごい」
そしてその脇では、ギルドの受付嬢――エリサが口をパクパクさせていた。
「アリオスさんがこれほどの使い手だったなんて……。《外れスキル所持者》どころか、Sランク冒険者にも匹敵するんじゃ……」
「はは……どうかな」
まあ、マクバ流の始まりたる淵源流を身につけたのだ。
他にも強力なチートコードを手に入れた以上、もしかすれば相当の力を手に入れたかもわからない。
まあ、かといってこの力を見せびらかすつもりはないけどね。
そういうのはどうも性格的に苦手だ。
「ギルドカウンターに戻りましょう! アリオスさんなら大歓迎です!!」
鼻息を荒くしたエリサが、「早く早く!」と言わんばかりに僕をカウンターまで催促するのだった。
かくして僕の冒険者生活がスタートすることになる。
ちなみに最初はEランクからということらしい。これは僕のみならず、どんな猛者でも例外なくEランクから始まるとのことだ。
「すみません……アリオスさんは少なくともAランク並の実力はあると思うんですが、許してください……」
このことに関して、エリサからめちゃくちゃ謝られた。こちらが申し訳なるくらいに。
「はは……いいですよ。こんなので怒ったりはしません」
冒険者のランクは戦闘力だけで判定されるものではないはず。
とりわけ僕は剣の道しか知らないからね。戦い以外のことにはチンプンカンプンなんだよな。
「あ……そうだ」
一通りの手続きを終えたあと、僕はふと大事なことを思い出す。
「エリサさん。こちらで素材の買い取りはできますか?」
「できますよ。早速なにかお持ちですか?」
「はい。えーっと、これです」
言いながら、僕はポーチから素材を取り出す。
「まずはブラックグリズリーの牙です」
「ああ、はい。ブラックグリズリーの……ブ、ブラックグリズリー!?」
「はい。それとブラックグリズリーの爪と毛皮……あとはジャイアントオークの……」
「ちょ、ちょっと待ってください! こんな高価なもの、私じゃ処理できません! 少々お待ちを!」
エリサはまるで宝物でも扱うかのように素材をカウンターに置くと、カウンターの奥へ消えていく。
「なぬっ!? それは本当かっ!」
奇声とともに現れたのは、立派な顎髭を生やしたじいさん。
心なしか、かなり表情が赤い。
あれ?
おかしいな。
この人、どこかで……
「ふむふむ……むむむっ……!?」
じいさんは目を凝らして素材のひとつひとつを確認した後、最後に僕を見据えた。
「これ……全部お主が持ってきたのかの?」
「は、はい。そうですが」
「馬鹿な……信じられん……」
口をあんぐりと開けるじいさんだった。
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