おい、衝撃の事実が続くんだが
あとがきに大事なお知らせがあります!
「な……んだ、これは……」
目の前にて映し出されていた光景に、僕はまるで理解が追い付かなかった。
――リオンは最初から影石に呑み込まれていて。
――それでも《僕を殺せ》という命令から、懸命に抗い続けていて。
――その均衡が崩れたのが《チートコード操作》を授かったあの日で。
立て続けに衝撃的な展開を見させられたので、正直、すべてを納得するのは難しい。
しかしリオンが影石に呑み込まれていたのだとすると、たしかにすべての理不尽が整合性をもって繋がるのだ。
ただ《外れスキル》を授かったからという理由だけで、実の息子を追い出した父。
バトルアリーナ会場での決闘を誘ったりアルセウス救済党に呑み込まれたり、到底《剣聖》とは思えない行動をし続けてきた父。
他にも納得できない行動は多々あったが、それらが影石に呑み込まれ、人格を破綻させられていたとすれば。
たしかに一連の謎は、一本の線に繋がるのである。
「父上……あなたは本当に……」
僕が掠れた声を発した、その瞬間。
「うっ……」
再び眩い煌めきが僕の視界を包み込み、なにも見えなくなるのであった。
★
「こ、ここは……?」
数秒後に視界が戻ったとき、目の前にはまた別の景色が広がっていた。
おそらく……辻馬車のなかだろうか。
狭い客室のなかに、赤ん坊を抱える女性と、護衛らしき騎士が向かい合わせに座っている。
僕はその客室にぽつんと佇んでいた。
「あ、あのー……」
念のため声をかけてみるが、例によって反応はない。
これも今までと同じように、映像だけを見させられているっぽいな。
というかこの女性、どこかで見た覚えがあるような……。
「おぎゃあ、おぎゃあ……!」
「おー、よちよち。泣かないでくださいねレイミラ。もうすこしで王都につきますよ」
「…………っ‼」
そうだ。
この人はたしかフェミア・ルトラール。
レイの母にあたる人物で、ラスタール村の出自だと聞いたことがある。
詳しい事情は国王にもわかっていないということだが、いつの日か忽然と姿を消し――。
ある時は、アルセウス救済党の二番手たる《同志A》として。
またある時は、《情報操作》というぶっ壊れ能力を扱う異世界人として。
ことあるごとに、僕らと衝突してきた人物でもある。
レイが赤ん坊の姿であることから、おそらく十七年以上の前の映像だと思われるが……いったい今度は、どんな真実が浮かび上がってくるのだろうか。
「……ん」
しばらく親子の様子を見守っていた騎士が、厳しい視線を窓に向ける。
「敵襲です! お二人とも、頭をお下げください‼」
「…………え」
フェミアが目を丸くした、その瞬間。
ドシィィィィィィイン! と。
激しい振動が客室内を襲い、馬車の動きが完全に止まった。
「くうっ…………!」
フェミアは苦しそうな表情を浮かべながらも、まだ赤ん坊だった頃のレイを強く抱きしめている。前につんのめってもおかしくないくらいの衝撃だったのに、文字通り固い意志で我が子を守っていた。
そして振動が収まったところで、同じく衝撃に耐えていた騎士を見上げる。
「いまのは……いったい」
「敵襲です。おそらく馬を襲ったのでありましょう」
「馬を……どうして」
「わかりません。ですがおそらく敵の狙いはフェミア様かレイミラ様です。私がしっかり護衛しますから、どうかここを動かないでください」
「わかりました。あなたもどうか……ご無事で」
フェミアが小声で激励すると、騎士は小さく敬礼をし。
そのまま客室を飛び出していくのであった。
「マンマ……?」
一方のレイミラは、まだ状況を掴めていないらしい。
母の腕をぎゅっと掴みながらも、きょろきょろと周囲を見渡している。
「大丈夫。あなたは私が絶対に守るから……どうか、おとなしくしててね」
そんな我が子を、フェミアはさらにぎゅっと抱きしめるのだった。
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《補助魔法》しか使えなかった俺、世界最強の剣術を極めて第二の人生をやり直す〜俺を裏切ってきた冒険者たちが陰で悪事をしまくまってるようなので、社会的に殺します。許してください? 許すわけないでちゅよ〜♡
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