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おい、久々だな

「ここ……か……?」


 最奥部に向けて進んでいくうち、僕たちはとうとう行き止まりに辿り着いた。


 もちろん――そこはただの行き止まりじゃない。


 壁面全体が鏡になっているのか、僕らの姿が事細かに映し出されている。たしか言い伝えによれば、この鏡が来訪者の知りたいことを教えてくれるらしいが……。


「なんにも、起きませんね……?」


 エムが遠慮がちにそう言いながら、壁面に向けて歩み寄っていく。


 そのまま鏡をコンコンと叩いてみるも、虚しい反響音が返ってくるだけ。特にこれといった変化はなかった。


「ふう……。やっぱり、噂は噂でしかなかったか」


 そう言いつつ、僕はため息をつく。


 別にそこまで苦労したわけじゃないし、そんなにショックってわけでもないけどな。

 それでもせっかく最奥部まで足を運んだからには、なにかしら発見のひとつやふたつは欲しかったところだ。


 もしくは、ここの鏡は《欲にまみれた人》には反応しないっていうし――。

 こうして見返りを求めて来ている時点で、僕らは失格なのかもしれないな。


「帰ろう。元帥のザックスさんも含めて、今後の話し合いを……」




「お待ちして……おりました……」




 ふいに聞こえてきたその声に、僕は大きく目を見開いた。


「な、なに⁉」

「これって、まさか……!」


 レイとエムにも同様の声が聞こえてきたらしく、きょろきょろと周囲を見渡している。


 だがいくら探し回ったとて、対象の人物が見つかるわけがない。


 なぜならば、その人物はこの世に存在しないはずの相手。おとぎ話にのみ登場するという、世界の管理者――女神ディエスだからだ。


「はは……。久しぶりにお話しますね、女神様。今日は姿を見せられないってことですか?」


「ええ……。異世界人が現れてからというもの、私たち・・・は力の消耗が激しくなってしまいました。そのせいで先の戦いでは手を貸すことができず……申し訳ありませんでした」


 ――先の戦い。

 考えるまでもなく、港町ポージでミルアたちが暴れまわったことを指しているのだろう。


 ファルアスもオルガントも、ピンチになったときは必ず助けてくれていたのにな。


 結局は無事に切り抜けられたからいいものの、いつもは助けてくれるはずの彼らがなにもしてこないことに、違和感を覚えていたことは事実だった。


「私たちの存在そのものにも、そろそろ期限が訪れようとしているようです。ですからアリオスさん……あなたたちにはせめて、事の真相をお伝えさせてください。異世界人たちがなにを企んでいて、そしてリオンやフェミアがなにを考えているのかを……」


「あ……」


 フェミア。

 その名前を聞いて、レイが大きく目を開けた。


 同志A――改めフェミア・ルトラール。

 レイの実母にあたる女性で、どういうわけかアルセウス救済党の二番手として暗躍していたんだよな。とうに亡くなっていると思っていたのに、なんとテロ組織の構成員となっていたわけだ。


 そのフェミアの謎もまだ全然明らかになっておらず――。

 だからレイとしても、気にならざるをえないのだろう。


「……いまから《真の鏡》の力を解放します。あなたたちにとってはとうてい信じがたい光景が広がっているかもしれませんが……どうぞ、向き合ってください」


 女神の声が響きわたってきた途端、壁面の鏡が眩い煌めきを放ち始めた。



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