表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

181/188

おい、意外なんだが

あとがきに重要なお知らせがあります!

「おい」


 重鎮会議が終わったあと、僕は聞き覚えのある声に呼び止められた。


 ――ダドリー・クレイス。

 僕の弟弟子・・・が、王城通路の壁にもたれかかっていたのである。


「ダドリーじゃない。あんた、いったいどうしたの?」


 僕の隣を歩いていたレイが、目を見開きつつそう訊ねる。


「あ……いや……」

 さすがのダドリーも、レイにはタメ口で喋れないらしいな。後頭部をかきながら、やりにくそうに答える。

「まあ、会議の内容が気になりましてね……。ずっとここで待ってたわけですよ」


「へぇ……。ずっと待ってたの?」


「はい……そうなりますね」


 思わず目を見合わせる僕とレイ。


 会議はかなり長引いたので、少なく見積もっても二時間はかかったと思うが。


 そんなに長時間……こいつはずっと待っていたというのか。かつての「我がままな剣聖候補」のイメージからは、まるで想像もつかないが……


 その理由はきっと、あいつ・・・の件だろうけどな。


「……父親リオンのことだな?」


「…………」


 その予想は当たっていたらしい。


 ダドリーは数秒だけ沈黙すると、

「ああ……。少しでもわかってることがあったら教えてくれ」

 と答えた。


 もちろん、簡単に教えられることではない。

 重鎮会議の内容は機密事項だし、いくらダドリーとはいえ、おいそれと話すわけにはいかないもんな。


 だが――彼は変わった。


 マヌーザ戦といい、リオン戦といい、彼のおかげで救われた場面があるのも事実。今後の付き合いという意味でも、ここは隠しておく必要はないだろう。


 そう判断した僕は、素直に答えることにした。


「いや……すまないが、詳しいことはなにもわかっていなくてね。王国軍の情報網をもってしても、あいつリオンの足取りはまったく掴めていない」


「そうか……。軍でもわからねえなら、しゃあねえか……」


「もちろん、詳しいことがわかったら伝えるよ。だからおまえも……なにか新情報を掴んだら僕に伝えてほしい。僕と話すのが嫌だったら、王国軍にでも伝えれば構わないから」


「…………」


 そこでダドリーは、じっと俺を見据えると。

「はっ、しょうがねえ。アテにゃあしねえが……期待してるぜ、準元帥サマよ」

 と勝気そうな笑みを浮かべた。


「そりゃどうも、白銀の剣聖サマ」


「ちょ……やめてよ、二人とも」


 二人して意地の悪い笑みを浮かべ合う僕たちに、レイが呆れ顔で仲裁した。


 張り詰めた空気感が……少しだけ解れた気がした。


「あ……そうだ。レイミラ様」

 珍しくダドリーがレイに話しかけた。

「レイファーは……いまどうしてるんすか? 大人しく王都に向かってったのは見ましたが」


「ああ……お兄様ね」


 レイは少しだけ複雑そうな表情を浮かべたが、数秒後にはしっかりダドリーの目を見据えて言った。


「お兄様なら、王都近くの牢屋に戻ったわ。ううん……。一時的に開放したアルセウス救済党の構成員や、元は各地に隠れていた構成員でさえ……あの騒動後、自主的に牢屋に入っていった」


「自主的に……?」

 少し意外そうに片眉をぴくりとさせるダドリー。

「ってことは、反省したってことですかね……」


「わからないわ。だけどみんな、すごく大人しくて……。問題なんかは一度も起こしてないみたい」


「…………」


 

 ――私たちは……見失ってしまったのだ。本来守るべきだったものを。国を。信念を。私たちは国を壊したかったのではない……。守りたかったのだ――


 かつてのレイファーの声明が、嫌でも思い起こされる。


 もしかすれば、彼らの本質は、ここ・・にあったのかもしれないな。


「ふっ。ははは、はははははは……」

 そこでなにを思ったか、急にダドリーが笑い出した。

「レイミラ様。もしよかったら、レイファーの奴に伝えといてください。あのときの気迫……悪くなかったってな」


 あのとき。

 言われるまでもなく、港町ポージでの出来事だろう。


 圧倒的な力を持つリオンに対して、レイファーはなんとか食い下がっていた。もちろん勝つことはできないまでも、善戦以上の戦いを繰り広げていたからな。


 たぶん、その気迫を称えようとしているのだろう。


「……うん。わかったわ。伝えとく」


「恩に着ます」

 それだけ言うと、ダドリーはくるりと身を翻す。

「そんじゃ、俺はこれで。……おいアリオス、てめぇもしくじんじゃねえぞ」


「任せておけ。異世界人なんかに、この国を侵略させはしないさ」


「……はん。上等だ」


 そう言い残し、ダドリーは僕たちから遠ざかっていった。きっと、またリオンを探しにいくんだろうが――その背中が、僕にはどこか寂しそうに感じられた。





【重要なお知らせ】


↓新作を投稿しました!


https://ncode.syosetu.com/n4133hn/ 


敏捷度9999999999の俺にとっては、光の速度さえウスノロに見える。~貴族家を追放されたけど、外れスキルが化け物すぎたので、俺は幼馴染の王女と新生活を送ります。おや、いつのまにか実家が滅亡してる



ぜひご確認していただけると嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼【※超速報※】 「コミカライズ一巻」が【 2022年9月30日 】に発売されます! 下記の画像クリックで書報ページに飛べますので、ぜひ今のうちに予約してくださいますと幸いです!▼ 明日9/30、チートコード操作のコミカライズ一巻が発売します! 超面白い内容となっていますので、ぜひお手に取りくださいませれ(ノシ 'ω')ノシ バンバン ↓下の画像クリックで商品紹介ページに飛べます! i000000
― 新着の感想 ―
[良い点] ダドリー…本当に立派になったね…( ;∀;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ